第18話 グレーターダークラミアとの戦い
「ラダル、状況を報告しろ」
「はい、この先に魔素濃度が異常な濃さの場所があり、魔物の湧きが異常ですね…其処から先に魔物が集まってる可能性が高いです。」
「よし、全員で行ける所まで突っ込み魔物を殲滅する!行くぞ!」
麓に居る騎兵隊を除く俺達4番隊は魔素濃度が異常に濃い場所を目指す。
途中に出て来た魔物達を殲滅して行きながら先を目指す。
「隊長、この先が魔素濃度が異常に濃い場所です。魔物の出現も桁違いに上がりますので注意して下さい」
「うむ、良いか!5人一組の陣形を忘れるなよ!!魔物には複数で当たれ!!行くぞ!!」
ゴンサレス隊長の檄が飛んで俺達は魔素濃度の異常なエリアに傾れ込んで行った。
その途端、魔物の群れが一気に此方に流れて来る。俺は『溶岩砲(マグマキャノン)』を撃ちながら隊長の援護に回る。
ゴンサレス隊長は例の金棒をガンガン振り回して魔物を吹き飛ばしながら進んで行く。副長や槍隊と歩兵の伍長組、そして弓隊と俺達魔法兵の伍長組は隊長を援護しながら突っ込んでゆく。
しばらくすると更に魔素濃度が上がってる場所があり、魔物のレベルがかなり上がる。
「隊長!この先魔物が強くなってます!!」
「みてぇだな。そろそろ何か居そうじゃねえか?」
確かにそんな予感はするが…まだ反応は無い。隊長は更にギヤを上げて魔物を駆逐して行く…スゲェーな…まあ、毎度の事だけど。
俺は『溶岩弾(マグマバレット)』を撃ちながら、攻撃を掻い潜って来た魔物を杖でぶん殴る。遠距離攻撃組の中で魔物がこのレベルだと俺だけが近距離でも対応出来るので、槍隊や歩兵から逃れて攻撃して来るヤツを狙い撃ちでぶん殴ったり『溶岩弾(マグマバレット)』を撃ちながら弓隊と魔法兵を助けて行く。その時でさえ隊長や副長の援護は忘れない。隊長の位置は気配で常に追っているので、敵が来ても魔力反応で判るのだ。
まあ、レーダーで常に敵味方を認識して、それを見ながら動き、魔法を撃つ感じだ。
大乱戦となっている中、俺は遂にこの魔物の群れの長らしき魔力を発見する。俺は『溶岩砲(マグマキャノン)』を撃ちながら隊長に声を掛ける!!
「隊長!!左手の方角にデカい魔力有り!!今魔法を撃った方向です!!」
「アレだな?分かった!!突っ込むぞ!!」
ゴンサレス隊長は金棒を振り回しながらデカい魔力の方に突っ込んでゆく!!俺達も傾れ込んで行った!
其処にはドス黒くデカいラミアがトグロを巻いていた。
「アレはダークラミアか?…いや、もう進化してグレーターダークラミアになってるみたいだな。此処に居る魔物は全部コイツに『支配』されてるぞ!!」
と、タイラー副長があの化け物の正体を話した。
ラミア…俺は村長の家で読んだ魔物図鑑を思い出す…本来ラミアは低級闇属性の【魅了】というスキルで人や魔物を惑わせて味方に攻撃させたりするが、ダークラミアは闇属性が更に強く、【支配】という、より闇属性の強いスキルで魔物を支配下に置く。そして支配下に置かれた魔物は他の魔物を支配するのだ。こうして伝染病の様に支配を広め、支配下に置く魔物の魔力を少しづつ吸収し、魔力量と魔石を大きくさせて進化する。
そして進化し、グレーター化すると支配下に置く魔物が持つスあキルを魔力と共に吸収してゆく非常に厄介な魔物に変貌する。
ちなみに【支配】はダークラミアより頭の良い者は支配下に置けない。人間に効かないのはその為だ。
厄介な事にヘビの身体のコイツには『千仞(せんじん)』では泳がれるので足止めは出来ないし、先程撃ち込んだ『溶岩砲(マグマキャノン)』は尻尾で弾き飛ばされた様だ。つまり火の耐性のスキルを持ってる可能性が高い。
俺に出来るのは『溶岩弾(マグマバレット)』をひたすら撃ちながら撹乱し、上手く杖でぶん殴る位しか無い。
「コイツが親玉か!俺に続けえええ!!!」
エエエェ…うそーん…。
脳筋爆発の隊長に仕方無く俺も続く。
俺はラミアの顔面に『溶岩弾(マグマバレット)』を撃ち込む。ラミアは一瞬怯むが貫通はしてない。あの鱗が火の耐性を持ってるな。ゴンサレス隊長は金棒でバカスカぶん殴るがぶっとい腕でラミアはブロックしながら隊長に攻撃をしている。耐衝撃のスキルも持ってるだろう…でなきゃ隊長の一撃をブロック出来る訳無いわ…。
タイラー副長が後ろから仕掛けた瞬間に尻尾の攻撃が襲いかかる。
そこを待ってたよ!俺はそれを予測していたので、その尻尾に杖を当てる瞬間に魔力を最大限突っ込む!!
インパクトの瞬間、物凄い嫌な音がしてラミアの尻尾が破砕された!!ヨシ!!
《ギャアアアア!!!!》
ラミアが痛みで仰け反った。
其処を見逃すゴンサレス隊長ではない。仰け反ったラミアが戻るタイミングに合わせて金棒で顔面を殴る!!
首が変な方向に曲がるラミアのボディーに金棒で殴り続ける。ジャンプしてラミアの頭へ飛んだタイラー副長の剣がラミアの首筋から斜めに入り血が吹き出す!!
ゴンサレス隊長はもう一度ラミアの顔面を殴り飛ばした!!すると頭が吹っ飛んでラミアの身体が崩れ落ちる。
そのすっ飛んだ頭を俺は追い掛けソレに杖に魔力を入れてトドメの一撃!!
実はその頭には魔石が入っていて、本体を囮にし分体として逃げ出そうとしたのだ。
それはラミアが地獄草という魔物のスキル【分体】を吸収して居たからである。俺は地獄草が支配下に置かれているのを確認していたので、ラミアがこのスキルを使うのを警戒していたのだ。
ラミアの頭を潰した瞬間、俺の中でドロッとした魔力が流れ込んで来た…何だこりゃあ??
その直後、俺の身体が燃える様に熱くなり、目眩がして思わず膝をつく……。そして数秒経たないうちに直ぐに元に戻る。
俺は【ザ・コア】の創造時に闇魔法の”さわりだけ”を体得したものの、闇魔法自体は覚えられなかった。しかし強力な闇属性のグレーターダークラミアにトドメを刺した事で闇属性の魔力が【ザ・コア】を媒介として一気に流れ込んだ。その事により、闇魔法を体得すると同時に【支配】のスキルが【ザ・コア】に吸収併合された。その際、ラミアが“スキル”として吸収していた闇属性の中から【ドレイン】が【ザ・コア】により進化させられて俺は闇属性スキルとして【エナジードレイン】を体得した。
元来、【エナジードレイン】は『マジックドレイン』と『ライフドレイン』の特性を持つアンデッドの上位魔法である。コレを俺はスキルである【ザ・コア】を介して覚えた為に、【ザ・コア】で【エナジードレイン】を闇魔法としてでは無く”スキル”として発動出来る様になった。(元来、ドレイン系の魔法はアンデッド専用で生命の無い者しか発動しない)
しかし、【ザ・コア】の特性が影響した為に一気には吸収出来ず、徐々にしか吸収しない。その代わり【ザ・コア】の範囲内に居る俺が指定した者達全ての魔力と生命力を吸収する事が可能だ。しかも【ザ・コア】の発動範囲が今までの3倍ほど大きくなっている。
3倍と言う事は、今までが大体半径500m位だったので半径1.5km程のエリアになった。
そしてもう一つ、吸収した生命力をもう一つの【ザ・コア】に貯めて『生命玉』を作れる様になった。コレで俺がダメージを負った際に回復させる事が出来る様になった。つまり予備の生命力バックアップがある事になる。
しかし、この『生命玉』は『魔力玉』と違い、自然と吸収する機能は無い。それは俺と『生命玉』は直接繋がって居ない事が起因している。
本来、回復魔法は光属性なので、相反する闇属性のスキル持ちの俺には回復魔法を使う事が不可能なのだ。其処で媒介となったのがあの大迷宮のペンダントである。
大迷宮ペンダントは周りの微弱な生命力を吸収し続け、微弱な回復を出し続けている。その性質は【ザ・コア】と酷似している。その為、『生命玉』から大迷宮ペンダントにパスを繋げた【ザ・コア】はペンダント媒介で俺を回復させる事としたのだ。
だから『生命玉』の方に自動吸収は無い。ペンダントにその機能がある為だ。
【エナジードレイン】で人間や魔物の生命力を枯渇させるまで大体3時間〜4時間は掛かるだろう。一見使えないなあと思うかも知れないが、戦争中にその位の時間睨み合う事など少なくはない。
ただ睨み合ってる内に魔力が削られ、生命力が削られる敵兵の恐怖はとれほどのものか。
そして俺は予備の生命力で不死身とまではならないが結構丈夫で魔力も尽きない。
装備ガッチリ固めて杖で殴るの主体にしたら…アカン…本当にウチの隊長の劣化版になってしまううぅぅ…。
俺は早速、魔物達をターゲットとして【エナジードレイン】を発動させた。『生命玉』が少しづつ大きくなってゆく。
勿論、『魔力玉』も維持出来る量が増えた為に大きくなる。
俺は『溶岩弾(マグマバレット)』を撃ちながら、遺跡の杖でぶん殴って行く。
「魔物にはまだラミアの支配が残ってるから油断するなよ!!慌てずに駆逐してゆけ!!」
タイラー副長の檄に皆が慌てずに行動している。
相変わらずゴンサレス隊長は金棒を振るって魔物をぶっ飛ばしている…ホームラン競争かよ。
まあ、俺も負けじとぶん殴ってるんで、近くに居た槍隊の連中が、引く様な生温い目で俺を見てた…そんな目で可愛い盛りの子供を見るんじゃねぇよ!!10歳の子供だぞ…クソッ!そんなヒマが有るならアンタらもガンガン魔物を刺しなさいよ!
その後、ラミアの支配から解放された魔物が次々と離脱しようとする。しかし、狂暴性が無くなりパニックを起こしてる魔物は次々と俺達の獲物となった。
こうして1時間後には魔物達を駆逐する事に成功した。
戦闘時間も長かったので『生命玉』も『魔力玉』も順調に大きくなった。『生命玉』はまだまだ大きくなる。
被害は出てるが死者までは出なかった。5人一組の効果が出てる様だ。
皆で、魔物の素材やら魔石を回収するが、結構荒っぽい攻撃だから、あまり良い稼ぎにはならなかった…俺もラミアの分体を魔石ごと殴って粉々にしちまったし…トホホ…。
「ラダル…お前…魔力大きくなってねぇか?」
「キノセイダトオモイマスヨ…」
「んな訳あるか!!何がどうなってんだ??」
隊長に突っ込まれたのでラミアにとどめを刺した後にこうなったと話すと首をひねってた。
「はぁ?そんな事あんのかよ…しかし、相変わらず不気味なヤツだな。まあ、強くなったなら上々じゃねーか?」
チッ…また不気味とか言われた。俺の可愛い盛りは一体何処に行ったんだ…解せぬ。
そんな事もありながらも皆で意気揚々とウッドランドへ戻った。コレでウッドランドも魔物に悩まされる事は無くなるだろう。
ウッドランドに到着した後、武具の手入れ等をやってると、隊長から明日から3日間の休みが言い渡された。ウヒョー!ラッキー!
明日、ヘスティアさんに休み貰った事を話して料理を教えて貰おう。どんな料理が出来るんだろ?楽しみだなぁ〜。
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