江藤亮平、災難に合う

俺は江藤亮平。今年佐賀県庁に就職したばかりの22歳だ。佐賀の北部生まれで大学は東京。卒業後に県庁へ就職決まり、佐賀市内の家賃四万円ぐらいのアパートに暮らす若者である。


そういうわけで、所属も決まり意気揚々と県庁へやってきたわけだが、なんと俺の所属先というのは『エルフがサガ県民の願いを叶えます課』という謎の部署である。


しかも、地下だ!!


地下一階とか二階ではない。


なんと、地下十三階というありえない場所にある!


つう、佐賀にそんな地下作れるのかよおおお。


それなら、地下鉄通れそうじゃん!


いや、無理か。


まず、需要がない!


だれがそんなもの使うんだよおおお。


最初は面白がって使うかも知れねえが、すぐに閑古鳥が鳴くに決まっている。


なにせ、佐賀の人口はさほど多くないし、佐賀市内にも田んぼが広がっているからなあ。


人もあまり通らないし、ただ車はそれなりに多い。


のどか


のどかすぎるのだ。


佐賀を探そうっていわれるぐらいに存在感薄い、ど田舎県だ。


そんなこと考えながら、俺は何段もある階段を降りていく。


やがて、扉があることに気づいた。



しかも古い!


錆まで生えているほどの古い扉。


その扉には『エルフがサガ県民の願いを叶えます課♥️』と書かれたいた。


しかも♥️付き。


その看板の周囲には可愛いイラストが書かれている。


どこの幼稚園だよ!


いやいや


大人がいくような店か?


そんなことを考えながらも扉の取手に触れた。


その瞬間、扉が勢いよくあかり、俺は顔面を殴打した。


「いらっしゃいませーー!」


扉の向こうからやたらテンションの高い女の声が聞こえてきたが、顔面の痛みで俺はそれどころじゃなかった。


あーー。


鼻血まで出てきたーー!


「あら? おかしかねえ。確かに来たような気がしたとばってんねえ」


「あのお」


俺は鼻血を押さえながら、扉を勢いよく開けた女をみた。


でかっ!


おっ


おっぱいでかいぞおおお


最初に目にしたのは、巨乳だ。


へそだしシャツから見える乳がポヨンポヨンも揺れているのが俺の視線の先にあったのだ。


いや胸だけじゃない!


身長も高いし、


お尻もプリプリ


顔もかなりの美女で


パーマをかけた茶色い髪がまた色っぽい!


年は俺よりもいくつか年上って感じにみえる。



それを見ているうちに痛みなんて忘れてしまった。


「あー!ここにいたのねえ。どうしてこがんところにおると?」


あんたが突然開けたから、扉にぶつかったんだよ!


俺の顔面に痛みが走る。停めたはずの鼻血が

また出てきた。


「あーらー♥️やーらしか男やんかーー♥️もう、うちの色っぽさで鼻血だすなんてーー♥️」


そういいながら、やたら胸を強調する。


いやいやいや、


確かに鼻血だしてもいいぐらいのナイスバデイだけど、その前に鼻血の原因は扉に殴打したせいだよ!


そう怒りをぶつけようとしたが、髪の隙間から覗かせた耳に違和感を覚えた。


あれ?


なんか、


耳が


耳がえらく尖ってないか?



人間の耳があんなに尖っているはずないよね。


俺が耳を見ていることに気づいた彼女は、髪を掻き分けて、耳を見せる。


やはり、尖っている。


これはまるで……。


「君が新人の江藤亮平くんね。私は鍋島直子。佐賀のエルフよ」


そういって、ナイスバデイの女が笑う。


え?


エルフ?


エルフ



エルフだとおおおおお!!



俺はただ驚愕した。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る