決断
連れられた店員さんの休憩スペース。
私とお母さん、店員さんがテーブルを挟んで向かい合う。
「私の名前はススーナと言います。この店の店長を任されています」
店員さんはそう名乗った。店長さんが杖選びの説明をしてたのか!
「失礼ですが、名前をお聞きしても?」
「私の名前はフュルレンと言います。こちらは、娘のマリンです」
とお母さんが紹介する。
お母さんの名前初めて知ったよ。
「聞きたいんですが、やはり杖選びのとき杖を貸すのはいけないんでしょうか」
お母さんが心配そうに聞く。私もそこを心配している。3歳で逮捕なんて嫌だよー。まだ、自分の杖が出来てないのに!
「いえ。あまり、そこら辺は正確に決まってないので大丈夫です」
店長さんのその言葉に、私とお母さんは胸を下ろす。
あれっ?じゃあなんでココに連れてこられたんだ?
「あなたは3人目です」
「3人目?」
お母さんも思い当たることはないようで首を傾げている。
「かつて、この世界には、魔王がいて支配されてきました。その魔王を倒したとされる、大魔法使いのギンサリードは、杖選びの規則をつくったのです」
ふんふん。なんともファンタジー。だが、この話は有名で私の家にも大魔法使い関連の本がたくさんあった。
「そのとき、大魔法使いギンサリードは言いました。『もし、光る枝を見つけ自分の力でとれたなら、魔法学園に即入学を許可する』と」
この話には続きがあるんだ!
あー、たしか大魔法使いは魔法学園もつくったんだっけ……。
んっ?ちょっと待って!
魔法学園に即入学許可!!!???
「そして、マリン、あなたで3人目なのです。3歳で光る枝を見つけた人物は」
「どうしますか、入学しますか?」
混乱しているけど、現状を整理すると私は大魔法使いが、つくった試練的なものに合格して3歳で、魔法学園に入学できる。ということだろうか。
「でも、魔法学園は、8歳からでマリンはまだ3歳なんですよ!」
お母さんが、言う言葉一つ一つに私への愛が感じる。
「ですから、許可するだけで、入学するかしないかは決めれるんですよ。2日後、またココに来てください。返事をもらいます。では、もう帰ってもいいですよ」
そのあとは、お母さんは一切喋らず、飛行用絨毯に乗って家に帰る。その頃には辺りは暗くなっていた。
私がとった枝は、魔法学園に即入学しないなら、この枝で杖をつくれません。と店長さんに言われ、預かってもらっている。
家についても、お母さんは喋らず部屋にこもってしまった。
部屋のドアをノックする。
「お母さん、大丈夫?」
ドアが開き、お母さんが顔を出す。
「ええ、大丈夫よ。ただ、少し驚いたから考える時間をちょうだい」
と言い、私の頭を撫でる。
たしかに今は私も考える時間が欲しい。
「わかった。おやすみ、お母さん」
魔法使いの国 中崎ネル @377415
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