繁華街


おっとそうだった、絨毯のことについて教えてもらわないと。

「お母さん、絨毯のこと、教えて?」

「えぇ、そうね。

絨毯には、いろんな種類があって、飛行用、ベット用とかいろいろあるの」

「ベット用?」

「マリンも使っているでしょう?」

「えぇ!あのベットもくるくるまとめられるの!?」

「えぇ」

はぁ。すごすぎでしょ、魔法。

いつも、寝ているベットも巻き物みたいみなるなんて…。

あれっ? でも、前の世界の物語とかでは、ほうきが主流じゃなかった?

「お母さん、ほうきでは飛んでないの?」

「ほうき? よく知ってるわね。あるけど、あれは競技用なの」

ははっ、前世の記憶の知識なんだけどね。

「競技用?」

「そう。あまり実用的にほうきを使う人は見たことないわね。そうだ、今日は無理だけど、いつか観にいきましょうね」

「うん!」

ほうきで競技かー、絶対面白いじゃん!

でも、実用的ではないのはわかるなー。

絨毯のほうが、いろいろ運びやすいもんね。





そんなこんなで、到着!

絨毯から見た、繁華街は思ったより人が少ない。

お母さんが、絨毯に手をかざすとくるくるっとまた、巻き物の形に戻る。

「案外、人が少ないんだね」

「まだ、鐘が鳴る前だからよ」

鐘が鳴る前?

「お母さん、鐘ってな…

ゴーン、ゴーンゴーン

うわっ!

突如、鳴り出した、鐘の音。

でも、鐘がどこにあるのかがわからない。

全方向から、鐘の音が聞こえてくる。どこからなっているの?

「この、鐘の音はね、空気中にある魔力を利用した魔法なの」

「魔力って、空気にもあるの!?」

「そう。魔力は、人工でつくった物以外の全てに含まれているって教えたでしょ?」

そうだけど…、空気中もなんて思わなかったよ。

「この鐘の音が、お店が開店する合図なの」

とお母さんが言った瞬間、ババババッと店が開く。それだけじゃない、空にも絨毯が次々と現れる。

「すごい!」

「空に浮かんでいるのは、商売用絨毯。だから、あれも一つ一つ、お店なのよ」

「あれも!?」

絨毯ってすごいな。荷物や人を運んで、ベットになって、商売をする場所になって、優秀すぎる。

「でも、今日行くお店は空にはないからね」

「はぁーい」

お母さんが差し出してくれた手を取り、歩き出す。

今日は無理でも、いつか行きたいな。


そこからは、周りの注意は手を繋いでいるお母さんに任せて、私はちゃんと周りをキョロキョロする。どの店も、とても魅力的で行ってみたいところだが、今日は、我慢、我慢…ってなにあれ!? 薄い黄色の雲?みたいな見た目のやつ!しかも、食べている子を見たら、それがめっちゃくちゃ伸びる!

なにあれっ… ってな感じで欲を誘われる店がたくさんあって、我慢なんてしてられなかった。もちろん、可愛く駄々こねてその薄い黄色の雲も買ってもらった。名前は、伸ばし雲というらしい。レモンみたいな、酸味でさっぱりしていてとてもおいしかった。



寄り道をしたせいか、着いた時には目的のお店の中は少し混んでいた。

「ほら、ちょっと混んでいるじゃないの。あとからでもよかったのに」

「だって…」

魅了的すぎるのが、悪いんだもん!

とは思うが口には出さない。

お母さんがドアを開けると、チリンチリンと音がする。

この音も、魔法なのかな。

と考えつつ、お母さんに続いて、店に入った私は驚きで固まった。

店の中に、巨木が生えている!










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