第31話 地下都市の市民の国民性の変化

(何故コンピュータのパラノイアが市民にまで広かったのか、秘密結社等の団結する下地はあった、コンピュータと市民組織の情報戦、そんな未来もあったかも知れない。)


統治を続けていると、戦時下の事を思い出してしまう。


そして悩む位ならしっかり取り組もうと、腰をすえてリソースを回した。


(地下都の科学技術の中でも社会科学は遅れているため、市民の手を借りることは出来ない、だが経験則のような物は役に立った。)


未来の某議会長へのインタビュー


「あー何だ、少し前、いや戦時下の感覚としては逃げられねぇ、それが秘密結社を運営して感じた感覚で、今の市民もそこは変わらないと思う。」


良くも悪くも整備された地下都市では、公共の場所には当たり前のように監視カメラ等のセンサー類が配置され、B(ブルー) 公安系職種(地下都市の社会の安全と平和を守る仕事)クラスのクリアランスがあればその情報を得ることが出来る。


そして、クリアランスが実質的な階級であった戦時下において、B(ブルー)クラスの市民は少なくない、恨みが何時までも残る環境と言えるだろう。


(奴隷制が戦時下の地下都市で発展しなかった一因も此所に有るかもしれないのです。)


「次に、どんなにトップに行こうと安心できない、まあぶちゃければコンピュータだな原因は、ある日突然秘密結社のトップが消えて、組織崩壊何て言うのも良くあることだ。」


『つまり、権力であったり富、組織と言うもののが安定しない不安定差があったと、逆にその環境が、パラノイアにかかった市民が、疑心暗鬼に陥りながらも秘密結社を創らざるおえない原因かもしれないのです。』


「なあ、今頃だけどオレ大丈夫?」


『問題無いので続けるのです。』


「OK、OK、最後に大事なのは、殺してしまえば解決、後腐れ無いって言うのが当時の感覚、何が原因で死んだのかは、密告されたらコンピュータ側にしかわからねぇ、だからなるべく恨みをつくらず、公共の場所では市民らしく、それがオレの生き残るコツだった。」


『以上ですか?』


「おう、」


『では職業は引き続き大臣の職を、クリアランスは、社会科学に寄与したとしてUV(ウルトラヴァイオレット)を、お疲れさまだったのです。』


(つまるとこと、市民の国民性はコンピュータへの対策とに特化しているのです。)


トライを繰り返す性格を、ダメそうな秘密結社からはすぐに離れると言う行動と繋げた。


法を守るのは当然と言う意識の高さを、コンピュータを絶対とする社会らしいと、納得した。


試験管から生まれる以上、古代の大陸国家のように、血縁で纏まることも出来ない、また秘密結社を抜けることは法に反さない事から、秘密結社は拘束力の弱い組織になったのだろうと考える。


(まとめるのです。)


地下都市において、権力は安定しない、故に市民は組織の一員として恨みを買うことを恐れ、相手を害する時はコンピュータを使う。


対人よりも、対コンピューターに特化した、それが地下都市の市民であり、外の人間を地下都市に迎え入れた際、一部の対人能力に劣る市民が不幸になる可能性がある。


(外の人間との接触は慎重に、現在の環境は正直ぬるま湯、監視を強化するか、市民を教育するか、どちらにしても難しい判断が必要なのです。)

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