第26話 防衛線と敵性生物
『LT(陸運)03C(三番セクター)24監視塔、小型種機械同化I-43の群れ、小規模、情報送信、戦闘用ドロイドの配備を申請、返信を送れ。』
『LT(陸運)03C(三番セクター)統括Bクラス職員確認、自職の権限の範囲と判断、申請を許可する。』
監視塔が光り輝き、散布された黒い砂鉄の様な万能セラミックが紫の光球に集まり、バチバチとナノマシーンにより焼き直されながらバトルドロイドの小隊が一ダースほど生産され分隊として行動を始める。
『戦闘ドロイド部隊より、LT(陸運)03C(三番セクター)24監視塔へ基本装備の許可を求む。』
『LT(陸運)03C(三番セクター)24監視塔、基本装備の使用を許可、戦闘行動01、火力分散による頭部の破壊を実行せよ。』
現れた敵性生物は四足の獣、犬よりの肉食獣の様な姿をしていた、ただその皮膚は汚れ傷ついたプラスチックの様に見えたし、その背中には銃火器を背負っていた。
『戦闘ドロイド部隊了解、威力偵察、戦闘行動01を実行。』
一斉に放たれた光弾は、その頭部に当たり敵性生物をひるませるも、顔を軽く振って思い出したかのように走り出す。
『24-01戦闘ドロイド、出力2.5効果無し、出力4.0で戦闘行動01を開始。』
何匹かは悲鳴を出せただろうか、その背中の遠距離武器を使わせる前に、彼らは甲高い悲鳴を上げて頭部に赤く焼けただれた風穴を作って廃墟の床に眠る事になった。
『戦闘ドロイド部隊より、LT(陸運)03C(三番セクター)24監視塔へ、小型種駆除の完了。報告追加、振動あり、中型敵性生物接近、LT(陸運)03C(三番セクター)24監視塔対応の指示を送れ。』
『中型未確認敵性生物接近、LT(陸運)03C(三番セクター)統括Bクラス職員、指示を送れ。』
『LT(陸運)03C(三番セクター)統括Bクラス職員確認、自職の権限の範囲と判断、戦闘行動01を続行。』
餌につられてだろうか、音に反応したのだろうか、カバの様に巨大な、小型の航空機程のげっ歯類が現れる。シルエットだけならカピバラの様に見えただろう。それの皮膚はゴムの様で、毛は髭位しかなく、抉れた腹に機械類をため込み、髭と腹の機械で周囲の環境を把握する視界に頼らない、目の無い化け物であった。
「えっと、未確認生物を確認した場合はコンピュウターにデータを送って、機械同化ネズミ目ミュータントテンジクネズミ科、腹部探知属、重装甲変種、だから、機械同化ミュータントN-の何番目だ、え21と、送信。」
Bクラス職員がおぼつかない手つきで端末に番号を打ち込む。もう2箇所の監視塔の敵性生物は新種じゃあ無くて良かったと思いつつ、こうもマニュアル化と自動化が徹底されると味気無いとぼやいた。
『24-01戦闘ドロイド部隊、出力2.5にて威力偵察、戦闘行動01を実行、効果無し出力4.0へ変更、効果無し出力6.5へ変更最大出力効果無し、対象の接近により戦闘行動01の状態で04に以降、再度最大出力にて戦闘行動01を開始する。』
中型敵性生物の巨体が迫るのに対し、戦闘ドロイドは坦々とビームライフルの出力を上げ、戦闘行動を04に変更し、部隊を四体の班に分け、前列の2つの班が後退してるあいだは残りの班が射撃を行い、次の班が後退を始めたら残りの班がと言う風に、班ごとに距離を取りながら常に二つの班が射撃を行う形で後退を始める。
『LT(陸運)03C(三番セクター)24監視塔、24-01戦闘ドロイド部隊の戦闘装備の使用を推奨、低位戦闘装備の使用を申請、返信を遅れ。』
『LT(陸運)03C(三番セクター)統括Bクラス職員確認、自職の権限の範囲と判断、申請を許可する。』
『戦闘ドロイド部隊、戦術装備の使用了解、ビームライフルの連射モードを解除、溜め撃ちによる出力10.0を解除、手榴弾の使用制限を解除、戦闘モードへの移行完了、返信を遅れ。』
『戦闘モードへの移行を確認、連射モードで戦闘行動07。』
間接を無視した、機械らしい投擲で時限式の手榴弾が中型敵性生物の鼻先で爆発し、チャフのような、様々な物に対する煙幕が撒き散らされる。
それにあわせて、転がされた手榴弾をちょうど踏みつける形になり中型敵性生物はその足を止める。
『戦術01へ以降、出力10.0、中型種沈黙、対象駆除の完了。』
『LT(陸運)03C(三番セクター)24監視塔確認、万能セラミック及び残量エネルギー回収、異常の終息を報告します。報告書作成の手順に従……』
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