第24話 コンピュータと外部進出

「コンピュータ様は、今回の襲撃を元に、軍事コンピュータの暴走を認定、Xターンアトラントローパ地下造兵廠へのアクセスを行い、旧文明の法を用いて対象を無力化しました。」


背景では、破壊された都市の再建が行われている。


「市議会は今回の襲撃を元に、外部からの襲撃を警戒すると共に、都市外への探索及び、コンピュータ様の管理範囲の拡張を進言いたしました。」


地下都市の、東ゲートが解体され、新たに道路や鉄道が通るチューブ、モノレールや歩道の基礎が建設されている。


「コンピュータ様はこれに対し、アフリカ大陸の旧文明由来の設備を管理下におく事を宣言しました、その第一歩として、ビクトリア貯水層への鉄道の敷設が進められています。」


Xターンアトラントローパ地下造兵廠、その正体はビクトリア貯水層下部に作られた軍事施設、宇宙戦艦の造船と運用を目的に、世界政府を名乗った旧文明が配置した軍事コンピュータの暴走と言うのが落ちである。


ちなみにビクトリア貯水層とは、地下都市から真っ直ぐ東に千キロちょと行った位置に存在する貯水施設である。


アフリカ大陸最大の湖を元に作られただけあり、アフリカ大陸全土の緑地化と、全盛期の地下都市を含む旧コンゴ盆地を利用して建設されたアフリカ大陸の地下世界の都市用水を賄えるだけの貯水量がある。


「ご覧下さい、旧文明由来の建設機械です、50メートルはあるでしょうか、壁外への地下都市の拡張のために、市議会は複数の建設業者を購入しました。」


それは紫に光る球体に、いくつもの触手のようなものが垂れ下がった、浮遊する巨大な機械ダコのような見た目の建設機械であった。


「種類は違いますが、同じような規模の建設機械を12機購入、今回の建設事業に7機投入しました、現場では繁殖したミュータントや、暴走した機械等の危険もあるため、一般市民の壁外へ行くことは推奨されていませんが、都市防衛軍により建設地域の安全が確保されつつあります。」


小型のドローンに、都市防衛軍の三次元的な戦闘が写し出される。


相手は、八つ目うなぎのような口に、はだかネズミの皮膚を白くしてヌメヌメにした、シルエットは大型の犬に見えるミュータントと戦っていた。


人の生活圏の近くにオオカミが出ると言うのは、古代ローマ帝国が滅び、深い森林と落ち葉によって集落どうしの道が塞がれた、暗黒の中世のような状況に類似する。


「インフラの防衛の為にも、自律兵器による防衛戦の構築や、都市防衛軍の駐屯、将来的には、鉄道沿いに小規模な街の建設も検討されています。」


そんなニュースであったりにより市民を煽ることで、ようやく少し外に興味をもってもらえたが、開けた空間が少なく、坑道か地下街の廃墟が広がる壁外には、あまり興味をもって貰えなさそうだと、コンピュータはため息をついたと言う。


(市民の派遣に制限があるのなら、防衛兵器の強化が必要なのです。)


『統括HK(ハウスキーパー)-00よりコンピュータ様へ通達、監視塔の準備が出来ました、以上です。』


それは、平べったい四角柱にアンテナポイ棒がいくつか刺さった、横から見れば縦長の長方形に、青いラインの装飾が、光の点を運ぶように見える、地下都市の建物と同じデザインであった。


『了解なのです。』


「始めるのです。」


コンピュータが、少女の姿で指示を出す。


すると、チリのようなものが紫の光球に集まり、バチバチと光ったかと思うと、戦闘用アンドロイドが銃を構えていた。


「ご覧の通り、万能セラミック粉末散布と、重力操作による場所決定、ナノマシーンによる焼き直しにより即座に戦力を配備する優れもの、そして、」


掛け声と同時に側面の上下に、長方形の線が現れ、剥がれて監視塔の周囲を浮遊する。


「監視塔本体にも、複数のセンサー類とシールド、また[桜]や[蕾]の花弁のデザインを監視塔に寄せた物が四枚、左右に二枚ずつ配備してある。」


数秒とかからず、戦闘用アンドロイドの分隊と、四枚の花弁が展開されていた。


「採用、空間がある場所の監視カメラはこれと入れ替え、防衛線にも配備するのです。」


地下都市のレーザー搭載の監視カメラは、公共の場所に配備されている。


そのうちの、広い場所、屋外であったり、ホールであったり、あるいは柱に埋め込むなどして、地下都市が地下都市らしくなったのであった。

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