第23話 都市襲撃の終了
「おや?何か来ると思ったが、たった一体か、全くたった一体に私の私兵は何をしている。」
チョコレートの様な肌に、白髪の髪と髭を蓄えた中年が、葉巻をふかしながら落胆した様に話す。
「ボス、いえ議会長、未確認のアンドロイドです。コンピュータからデータの更新、HK(ハウスキーパー)型アンドロイド、宇宙戦艦と同等の脅威度が割り振られた機体です議会長、警戒を怠らないように。」
「ほぉそれはいささか過剰では無いかね、全くコンピュータも心配性だ、パラノイアにかかるわけだ、ああわかったさて、コンピュータによる支援状況良し、多脚式巨大兵器こそロマンとしれ。」
市民議会長は、HK(ハウスキーパー)型と言う未知の敵のアンドロイドに対し、治安維持用30メール級航空機重歩兵[蕾₍つぼみ₎]に、四本の脚部と無限軌道、俗に言う履帯で足回りを強化し、巨大なロボットアームと花弁で武装した、[広域殲滅兵器]と言う名称を与えられた、元となったの航空機重歩兵の球体の原型だけを残したオーダーメイドの兵器で立ちふさがる。
「統治用コンピュータ中枢を確認、障害を排除します。」
「逃げ足が速いなアンドロイド!!」
十分なスペースを確保した状況で、[広域殲滅兵器]は戦闘を開始していた、その図体に似合わぬ速度、壁に張り付く三次元的な動き、何より無数のビーム兵器は[広域殲滅兵器]の名に恥じぬ物であった。
「どれだけ持つか見ものだな、これはよけれるか?」
だの、
「コンピュータのひざ元で私が負けるとでも?」
等と、明らかに高性能であろう目の前のアンドロイドに対し、随分とデカい口を叩く、良くて自信家、悪く小物のような一面を見せていた。
結果、[広域殲滅兵器]はその花弁の二枚を切り取られたあげく、花弁の一枚により真っ二つに切り裂かれたのだ。
『アンチナノマシン散布』
政治の事しか見えてない、陰謀によってなりあがったインテリ眼鏡の敗北と言う、何処か形式美の様な結果になるだろうと思った次の瞬間、砕け散る[広域殲滅兵器]の爆発の中から、ナノマシンを推進力に姿勢を制御、ゴリラが木の枝を渡るように瓦礫で加速、
「全くすばしっこいアンドロイドだ、オレが直接ぶん殴ってやる。」
「武器も持たずに!?」
吠える様に叫び、次の行動に映ろうとしていたアンドロイドを背後から強襲、首根っこを掴みニ三度地面に叩きつけたうえで、四股を踏むようにその頭に足を踏み込み、都市の舗装された地面に埋め込む形で拘束する。
「全く戦時下を思い出すぜ、乗り物に乗ると体が鈍る。オレはスポーツマンだからな。」
『おめでとうございます議会長、回収部隊を派遣します。』
「HK-02、対象の脅威を誤にグッ、」
「黙ってろアンドロイド、オレはこの都市を、コンピュータの統治を気に入ってる、だからこそそれを壊す連中は誰であろうとぶっ飛ばす。」
「次元アンカー起動、HK-02本艦による制圧を宣言します。」
重力操作技術の副産物、異次元と呼称される空間、そこに潜航、アンカーを目印に出現する宇宙戦艦、現れた船底により、議会長はコロコロと転がり吹き飛ばされる。
一瞬何が起きたか分からないとばかりに周囲を見渡し、少し間抜けな格好で振り返る。
「気に入らねぇ、気に入らねぇからぶっ飛ばす。」
感情のままに飛び掛かろうとした所でピタリと止まり、右耳に手を当てる。
『遅かったなコンピュータ、だが悪くないタイミングだ。』
『Xターンアトラントローパ地下造兵廠と言う、国営造船所の存在の把握と、その権限の剥奪と、欲張って獲得するための法的根拠を用意するのに手間取ったのです。』
『欲張ったのか?』
『二隻の宇宙戦艦の所属が、Xターンアトラントローパ地下造兵廠の所属である事を警戒したのです。』
『まあ納得できる。』
「おいアンドロイド、戦闘行為を中止しろ、火遊びは終わりだ。」
「何を言って、トロイ級次元潜航情報宇宙戦艦ゼウス、現地統治機関、コンピュータ中枢へのアクセツを!?双方のジャミングが解除されている事を確認、情報共有完了、状況を終了、現時点を持って、指揮権を現地統治機関へ移行します。」
アンドロイドが一斉に戦闘行為を中止する。
地下都市に対する襲撃は集結した。
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