幸せになったよ。だからもう、安心してね。

くるみ

プロローグ

「おはよう」

 教室の扉を引きながら私は空気に挨拶した。


 この騒がしい教室は先日、先生に動物園と名付けられた


 顔を伏せながら素早く自分の机にたどり着き足早に教科書を机の中に押し込んでいく


 この教室のカーテンは青い。

 空をより綺麗にうつしてくれる。


 私が学校で唯一好きな所。


 なんで私ってこんなに社会不適合者なんだろうねー?

 と目の前に置かれた先生が好きなキャラクター(傍から見ると気味の悪い顔を持つ犬)に話しかける私はやはり頭がおかしいのかなと思う。


 私は場面緘黙症。


 話す能力はきちんと備わっているのだが学校で一言も話せなくなる。


 私の心はいつもむず痒くて痛かった。


 私はいつも教室の 隅っこ で窓からつきぬける蒼く透き通った空気を必死になって吸っている


 *


 2011年1月1日(水)───

「今日は、スイミーというお話を音読しましょう!」


 この言葉に私は酷く動揺した。


「スイミー ハ 」


 この後の出来事はあまりよく覚えていない。


 帰り道 空を見上げた


 薄暗い灰色の雲は空の青さを隠していた。

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