彼の事故後

 私は彼が緊急手術をすると聞いた瞬間、家を飛び出し直ぐに病院へと向かった。

 何時間経っただろうか─。緊急手術のランプの点滅が消えた。

 そうして中から出てきた人に、「こちらへどうぞ。」と言われ言われるがままにその場へ行き話を聞いた。


 ───彼は亡くなった。


 私は病院で泣きまくり、意識も朦朧としお母さんに「ほら、もう行くよ」と言われるもその場で泣きじゃくって、、、。


 ──やっとの事、家へ帰ってきた。

 その日私の心には、ぽっかりと大きな穴が出来た。


 *


 5日後、看護師さんから電話があった。

 彼から手紙を預かっている。直ぐに来て欲しい。そういった内容だった。

「彼」と聞いた瞬間私の心は少し弾んだ。

 が、すぐに私の心は重く、何かに押し潰された。

 それでも、、、。

 彼が私に書いてくれた大切な手紙。受け取ろうと心に決めた。




 * * *




 ───病院は、いつもより白く、光って見えた。

 5日間もろくに人間という人間の生活をしてこなかったからだろう。身体が追いついていかない。


「これが彼から預かっていた手紙です。彼は本当に彼女さんの事を愛していましたよ。私が話に行くと、貴方のお話ばかりされていて。彼女さんの話をする時は本当に嬉しそうに、幸せそうに話してくれました。」

 と。手紙を受け取った。


 彼は私の事、ちゃんと愛してくれてたんだね…。

 そして彼の文字を見た瞬間この手紙を直ぐに読みたくなった。そうして私は、その手紙の封を、丁寧に開けた。

 手紙は、感謝を綴る文字でいっぱいだった。

 ただ、読み進めていくうちに、これはただの手紙では無いことに気がついた。


 そこには現実なのか、果たして非現実なのか分からない、信じがたい文章が連なっていたのだった。


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