第2話 メガネクンと二人っきりの歓迎会っ★

 「浅川…お前の歓迎会は俺が付き合うから、泉は帰してやってくれ?」


 突然現れたイケメンメガネクン…水野 真実はそう言った。


 「ワルイな…今日透の誕生日なんだ。」


 水野さんがそっと鞄を手に取った。


 「…浅川さんごめんね。…そういうことだから…今日は…絶対ダメなの…。」


 じりじりと机から離れていく水野さん…。


 …引き時だろう。


 あんまりしつこくしたら水野さんに嫌われちゃう。


 「それは…悪かったわね…。じゃあまた今度ねっ★」

 

 ほっとしたような水野さんはそそくさと帰っていった。





 「どこ行く?夜景が綺麗な場所とかがいいのか?」


 真実は普通に話し始める。


 久しぶりに会ったとかそんな雰囲気は微塵もない。


 昨日会った友人と今日も会って話している…。そんな感じだった。


 「…水野クン…水野さん…?」


 「ん?今更何で改まってるんだよ。シンジでいいぞ?」


 …歳はとったけど…変わってないな…。


 …少し安心した。


 「じゃあシンジっ、何でもいいから気楽にお酒が呑める所に行こうっ?」


 

 …夜景の綺麗な場所何かに行って、自分だけその気になってしまうなんて御免だ。


 …どうせ真実にその気がないのは分かっていた。


 …今日だって水野さんを帰してあげるために私に付き合ってくれたんだろう…。


 …何となくいじけてしまいながらもいっそのこと真実のおごりで呑みまくってやろうと意気込んでいた。




 ★



 「じゃあ、乾杯っ★」


 私の行きつけの居酒屋に入った。


 ここは安いし料理は美味しいし、何よりも気楽だ。


 グラスを合わせて乾杯し、二人で呑み始める。


 「っていうかシンジも水野さんもおんなじ会社に入ったんだね。本当仲良しね。」


 真実が何か言いたそうにしたが、ふっと笑う。


 「…まあ…な。色々あって…。」

 

 「そうなんだ。あ、そういえば透クンと水野さん結婚したのね…。ショックだったわ…。」


 真実は一瞬切なそうな顔をしたがすぐに微笑む。


 「まあ、あいつらはずっと必要としあってたし。良かったんじゃないか?」


 …。


 真実の切なそうな顔を見た瞬間思い出してしまっていた。


 そう言えば真実って透クンのこと…好きだったんじゃないのかしら…。


 

 真実は男が好きなのか、透クンが好きだったのか結局分からなかったけれど…。




 お酒が入っていたせいで普段なら絶対に聞かないことを…聞いてしまった。


 「ねえ真実って結局のところ透クンが好きだったの?それとも男の子が好きなの?」


 「…わからん。透の事は…今思えば俺はあいつの父親になった様な気持ちもあったのは事実だし…。あいつを…守ってやらなきゃっていつも思ってた。でも透が泉の事が好きなのは分かり切ってたしな…。」


 真実はグラスをグイっと傾けお酒を飲み込む。


 「未だに透を守ってやりたいと思ってる…。」


 「…えっ…シンジそれじゃあ高校卒業してから好きな子とか…?」


 「…いなかったぞ?もちろん今だってな。」


 「ウソっ?!」


 …驚いてしまう。


 真実ってばこれだけイケメンで、優しいのに…。


 …真実ってもしかして…まだどうt…。


 思わず真実を見つめる。


 「…。何だよ悪いかよ…。」


 少しすねたような表情をする真実は少し可愛い。


 「別に悪くないわよっ。ただ世の中の女の子って何考えてるのかしらね。こんなイケメンほったらかして…。私だったら…。」


 

「…お前だったら…どうする?」


 真実に見つめられる…。


 「…。」


 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る