2.口の悪いキレイなお姉さん

いつからかなぁ?

すごく小さい頃から、ボクにはたまに、黒い影のようなものが見えるときがあった。

でも、パパとママに言ったら、すごく心配そうな顔をしたから、もう言わないことにしたんだ。

それにね。

別にボク、その黒い影を、怖いと思ったことは無いんだ。

だから、気にもして無かったんだけど。


「ようっ、輝!」

「・・・・昨日のお姉さん?」

「おう」


夜ご飯を食べ終わって看護師さんがお部屋から出て行ったあと。

昨日のお姉さんが、また突然やってきた。

ドアも開いてないし、窓も閉まってるのに、このお姉さんはどこから来たんだろう?


パパとママはもう帰ってしまっていて、お部屋にはいなくて、お姉さんとボクだけだった。

お姉さんは今日も、真っ黒な服を着ていた。

もしかしたら、ボクが今まで何回も見た黒い影は、このお姉さんだったのかな?


「当たり!さすが、あたしが見込んだだけはあるな」


突然お姉さんがそんなことを言ったから、ボクはびっくりした。

だって、ボク、なにも言ってないのに。


「当たり前だ。あたしは悪魔だからな。それも、そんじょそこらの悪魔とは違うぞ?『すげー悪魔』だからな!」


お姉さんは、得意そうにそう言ったけど。

ボクにはどうしても、我慢ができなかった。


「お姉さん」

「なんだ?」

「言葉遣い、直しなよ。キレイなお姉さんが台無しだよ」


お姉さんは、とても驚いていたみたいだった。

目を大きく開いて、口も開いて、しばらくボクを見ていた。

お姉さんの赤い瞳は、とてもキレイだった。

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