ボクが恋したツンツンツンデレ悪魔の話

平 遊

1.いきなり悪魔を追い返す

ボクは生まれた時から、心臓が弱かったんだと、パパが言ってた。

ボクが体が弱くて、入院ばかりして、お外で遊べないのは、誰のせいでもないんだって。

でも、ママはいつも、『ごめんね、輝』って、ボクに謝るの。

謝りながら、泣くの。

ママのせいじゃ、ないのに。

ママは、泣き虫さんだから。

だからボクは、思い切り、笑うんだ。

ママのせいじゃないって。

ママがボクを生んでくれたから、ボクは大好きなママとパパに会えたんだよって。

そうするとね。

ママは泣きながら、笑うの。

そしてボクを、ギュッてしてくれる。

やっぱり、ママは泣き虫さん。

だから、ボクもママを、ギュッてする。

ママが笑ってくれると、ボクはすご嬉しい。


ボクは、パパもママも、大好きだ。

病院のお医者さんも、看護師さんも、みんな優しくて、大好きだ。

大好きなお医者さんや看護師さんに会えたのは、ボクの心臓が弱いからだ。

だからボクは、この弱い心臓も、大好きだ。


「輝くん、もう電気消すよー、お休み」

「うん、おやすみなさい」


看護師さんが、ボクのお部屋の電気を消してくれた。

ベッドのそばの機械の明かりは点いているから、お部屋は真っ暗にはならないけど。

お部屋の電気が消えると、ボクはすぐに眠たくなる。

今日も、すぐに眠たくなったのに。


「ようっ、輝!」


突然、誰かがボクのそばにやってきた。

だから、ボクは、言ったんだ。


「もう、消灯時間過ぎてるよ。眠たいから、明日にしてくれる?」

「えっ?・・・・あ、ごめん。じゃ、明日、な」


そう言うと、その人は突然いなくなった。

ぼんやりと覚えていたのは、その人が真っ黒な服を着て、赤い瞳をした、頭にツノがある、銀色の髪のキレイなお姉さんだってことだけ。


あのお姉さん、誰だろ。

明日、また来るのかな。


そう思いながら、ボクはそのまま眠ってしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る