第5話
セオ様が一頻り笑った後、ヒル男爵令嬢に言った。
「あー面白かった。ヒル男爵令嬢、キミにはお礼を言わないとね。キミのお姉さんのおかげでルナ嬢は婚約者が居ないんだ。
あのパーティーでキミの家、相当有名になったよね。知らないの?僕、あの場に居たんだ。キミは招待されて居なかったから知らないのも無理はないかなぁ。キミ、あの場を見ていないからだよね?だから、ルナ嬢に食って掛かるんだろうけど。
キミのお姉さん、相当酷かったよ?僕から見ても街角で立っているような娼婦の格好で異様だったし。あんなので男爵令嬢なんだもん。びっくりだったよ。話し方や仕草。本当にキミ達姉妹は品が無くて困る。
いいかい?しっかりその軽い頭に叩きこんでおくんだよ?
ルナ嬢は今、この学院で公爵令嬢という一番高い身分に加え、美しさ、知性も兼ね備えている令嬢。婚約者のいない子息の取り合いにならない方がおかしいんだ」
そう言うと、セオ様はクルリとこちらを向いて私に話しかけてきた。
「と、いうことで、改めて。ルナ・ブラウン公爵令嬢。私、セオ・クラークは婚約者として立候補します」
「えっ」
不意打ちの告白!?どうしていいか分かりませんわ。私が表情には出しませんが、先程の悲しみも吹き飛び、内心あわあわと戸惑っていると、
「僕も立候補していいかな?」
隣から声を挙げたのがリーヴァイ・フォレスト公爵子息様。
「抜け駆けはいけないな。俺も候補者の一人に立候補だ。」
レオ・モリス侯爵子息様まで。
俺も、俺もという声が聞こえてきます。
「もう!皆様、からかいが過ぎますわ。私はまだララ・ヒル男爵令嬢のお姉様に誕生日パーティーを潰され、傷心中ですのよ?
それと、婚約については私、個人がすぐに、と決められる事ではございません。どなたもまだ婚約者候補には挙げる事は出来ませんわ。どうしても、と思うならブラウン家に直接お話下さいませ。」
私は顔を真っ赤にしながらそう答えた。
「ははっ。そうだね。やっぱりルナ嬢は可愛いいね。」
その場はなんとか和かな雰囲気で収まった。ヒル男爵令嬢は顔を真っ赤にして出て行ったけれど。ヒル男爵令嬢は去ったから良いですが、残った私は恥ずかしく感じたのですよ。本当にもうっ!
後日、下校してすぐに父に執務室へと呼び出される。何やら父は神妙な面持ち。何か私学院でやらかしたのでしょうか?
それとも、Sクラスに在籍出来ないほどの成績が低かったとか・・・?全然予想がつきませんわ。
「ルナ。この数日で是非嫁に欲しいと申し込みが沢山きているのだが。何故だ?」
どうしてこうなりましたの!!?
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