第3話

 私が通う事になるロードソード学院は14歳から3年間通う学院となっていて、主に騎士科、淑女科、執事科、文官科、薬学科と別れていますの。


クラス分けは純粋に実力主義であり、主だった教科はクラスで学び、専門の教科は各自の科に移動し、学ぶスタイル。


 私は淑女教育は小さな頃から教養として学んでいたので好きな学科を選べるのですが、ウィル様と婚約しており、卒業と同時に婚姻の予定だった為、淑女科を選び花嫁修行をする予定でした。残念ながら他の科は選べなかったのです。


けれど、婚約者が居なくなった今は淑女科でなくてもいい。将来領地を担うのも兄だから好きな科に入っても良いはずですわ。


よし、薬学科に決定。そうと決まれば、早速お父様に話さねばなりませんね。


「お父様。今、よろしいですか?」


「ルナ。何だい?」


「お父様。来月から入る学院には淑女科ではなく、薬学科に変更したいと思っております。今は婚約者もおりませんし、お父様の跡を継ぐ訳でもありません。


家同士の繋がりの為の政略結婚は必要だとは思いますが、あんな事があって以降我が家の醜聞も避けられません。醜聞が収まるまで私と婚約を結びたいと思う方は居ないと思いますの。ですからこれを機に王宮でお薬を作り、人々の役に立ちたいと思います。それに私自身も婚約者に裏切られ、痛い思いをしましたので今は勉学に集中したいですわ」


「そうか。やりたい事が出来たのだな。では新しい婚約は少しの間だけは待つとしよう。ルナなら優秀な医務官になれそうだな」


そうして私は医務官への道に進む事にしました。




 この国ではまだまだ医療が発展途上にあり、ここ数年でようやく薬学科が新設された注目の科でもある。


街や村の医者は医療知識の無い者もなれるのだが、王宮に勤める医務官等は代々薬草や医療知識を持つ貴族の二男、三男が殆どであった。


しかし、数十年に一度は訪れる疫病等で医者が減り、人手が足りない事情を考え王国が率先して創設された経緯がある。





 本日は待ちに待った入学式。制服は学科により女子はリボン、男子はワッペンの色に違いがある。私は緑のリボン。結構可愛いので気に入っていますわ。


学院長からの挨拶の後、生徒会長からの挨拶、入学前の試験で1位を取った人の生徒代表の挨拶がある。


 今年度はどうやら騎士科のリーヴァイ・フォレスト公爵子息。金髪に碧眼で顔立ちも良く、つまりとても見目麗しい。


生徒代表挨拶時にも黄色い声が聞こえてくるほど。残念な事に見目麗しい代表の王族の方々はお兄様達と卒業されたので、現在はどこの学年にも居ない。


王族が在籍していないこの学院では、今の所私とフォレスト公爵子息様と私が公爵位で一番高い身分となっていますわ。


 フォレスト公爵子息のような見目麗しい方は遠くで見ている分には目の保養となり、いつまでも見ていたいですが、婚約者や恋愛となると、今の所は心が付いて行かず遠慮したいですね。


 さて、式も終わり各クラスへの移動する。私はなんとかSクラスへ入る事が出来ましたわ。Sクラスへ入るのは基本的に官僚目指してる方や、王族の方々、優秀な執事を目指す人等です。


 私は王宮勤めをしたいので成績が良くなくてはいけませんの。反対に淑女教育では学院を卒業した事実が有れば良いので成績はそんなに加味されることはないみたいです。

騎士科の方々は実力主義のため成績は低くても悪くはないでしょうが、団長クラスを狙う方はやはり成績も重視しているようです。



・・・なんていう事でしょう。


クラスに入って驚きましたわ。今年のSクラスは女子が私しかおりません。これでは女友達も作れませんわ。シクシクですわ。男ばかりでどうすればいいかよく分からないです。


 クラスのメンバーは騎士科4名、文官科8名、薬学科3名、執事科10名ですわ。担任のサイラス先生から自己紹介が始まり、生徒一人ひとりの自己紹介がありました。


私は名前順という事で最後での自己紹介です。


「私、薬学科のルナ・ブラウンです。このクラスでは他に女子がいないため、少し寂しくはありますが、楽しく過ごしていけたらと思っております。皆様宜しくお願いします」


「ルナ嬢に質問はあるかー?」


先生は他の方に聞いてくれます。


「はい!ルナ嬢は婚約者はいるんですか?」


勢いよく挙げられた手で質問されたのは婚約者の話。内心ドッキリしましたわ。


「残念ながら私には婚約者はおりません。」


眉を下げて困ったように返したその言葉に反応したのか響めきが起こった。



何故ですの!?


そこは触れちゃ不味いと思われたのかしら…?

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