第42話 松本楓(まー吉)の憂鬱 ②

作戦決行日の朝

私のお父さんとお母さんが

家でひっくり返っていた。


原因はまー吉。


別の学校の制服を着ているのもあるけど


それを省いてでも尚

超越した【ゾーン】の入り方をしているまー吉の

唯(ただ)でさえ良く見ないと判別出来ない完コスに


私の親が見破れる筈も無く


百々のつまり

他人が人の家で

堂々と寛いでいると勘違いをしてしまって


朝騒ぎになってしまったのだ。



まぁ擁護する訳じゃないけれど

話し方迄変えているからね


まー吉は。




例えば


いつもは使わない部類の言葉を

さも普段使いの様にスラスラと吐き出す様や


声色?なのか

ワントーンは確実に上がった声を出し

それが地声の様に

違和感が無かったりとか



特技や趣味レベルを越えてしまう

人間業では計り切れないまー吉の【ナリキリ】に



少し飛躍するけれど



彼女は地球人ではなくて

何処か別の星の宇宙人か

はたまた

突然変異のミュータントで


地球征服の為に

松本楓と名乗って生活をしているのではないか


なんて



そんな

鼻で笑われるだけの作り話なんかも



今朝のまー吉を見ていたら


【ワンチャンそうなのでは?】と

本気にしてしまう位


完璧な別人に

松本楓はなっていた。



慌てぶりが半端無い両親の為に

直ぐにタネ明かしをしたのだけれど


それでも尚

二人は


「信じられない」と


ボヤくばかりで


落ち着くのには

かなりの時間を要してしまった。




ーーーーーーーーーーーーーー



まー吉は

朝からZONEに浸りたいと言い出し

急遽学校を休むと聞かなくなってしまった。



それはどうなんだろうか?

って考えたけれど


みしゅなんが以前言っていた

「ハマったら止められない」という

忠告を思い出して


火に油も何だからと


仕方無く

今回は目を瞑る事にした。



結果は



帰ってきてからのお楽しみ?となり




それ以外のメンツは気持ちを切り替えて

学校へと足を向けることにした。








余り季節の事は口にはしないし

気にしないタイプの私だったけど

(今迄自己イベントが皆無だったから)



もうすぐ始まる夏休みを

かなり意識していた。



長い長いお休みの間で


起こるかもしれない



いや



起きて欲しい経験に。




だから



首尾良く成功するとかじゃなくて



大した騒ぎじゃ無かったというオチを



私は凄い期待をしていて




そう



普通に青春をしたいなーって思ってて




せめてこの休み中だけでも




そっとしておいて欲しいって




強く強く



思ってて



どうしても

最悪なパターンばかり過っちゃうけど



どうかどうか



邪魔しないでって

心で何度も叫びながら



朝の電車の中で



彼(匠くん)を


ずっと見てた。





実際は


強い刺客が来る事も知らずに・・・。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る