第34話 闇に繋がる糸

 小野祐未可を思い出す迄に、少し時間が過かってしまった。

最初から私を毛嫌いしていた子だ。

何故あんなに嫌っていたのかは不明のままで

2人の間には、今も靄(もや)がかかっている。

しかも同じクラスメイトだったのに

いつの間にか居なくなってるし

今は何処に居るのやら・・・


一筋縄ではいかないのは明白だ。


会話どころか

目も合わせれないと思う


間違いなく。


仮に誰か間に入って貰ったとしても

私の存在に気付いてしまったら、彼女はなんて顔をするのだろうか?


どう考えてみても


小野さんはアウトだなぁ。



その旨を3人に伝えて

もう1人の方に焦点を当ててもらうことにした。


早速その人に今回の事情を伝えたのだけれど



その人はどうも成立てのギャバ嬢らしくて、仕事を覚えるのに手一杯だから勘弁してほしいと、アッサリと断わられてしまった。


なかなか上手くいかないなぁ。


この手も駄目かなぁー


更に聞いて回ったけれど

結局小野祐未可以外はゼロだった。




違う方法を考えてみるか・・・・・。



聞き込みかー



出来れば春奈に気付かれないまま終わらせたいからなぁ

必ず耳に入ると思うし。


他にも後を尾けるとかもあったけれど

言う程簡単では無く

しかもあの町(中央町)は岡山有数の危ない町だから、ゆみゆみ以外はそれ所ではないと思った。


まぁゆみゆみには・・・・ね


みしゅなん「ゆみゆみは必ずぶち壊すよ」


ゆみゆみ「なんだと!」


八方塞がりだねぇ。

その後も何日か話し合いをしたけれど

4人は知恵を出し尽くした感があって、遂には何も案か出なくなった。


ここまでか・・・。


堪らずゆみゆみが


「親父さんに相談しなよ」と

匙(さじ)をアッサリと投げる発言をしてきた。


みしゅなんも

「大人の意見を聞くべきかもねぇ」とボヤく。


確かにそうだけど・・・




ぐぬねっ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


仕方がなく、又お父さんに相談する。


すると存外な言葉が返ってきた。


父「知る必要は無いと思うよ」


夢「なんで?」


父「じゃあ夢は何故彼女(安藤春奈)と友達になったの?」


夢「私を助けてくれたから、信用できると思ったから」


父「ほら、答えが出てるじゃないか?」


夢「えっ?」


父「彼女がどんな人間か知らなくてもちゃんと付き合えるんだったら、裏の事情など必要ないでしょ?」


夢「それは・・・」


父「必要無いから友達になれた、それでいいじゃないか」


夢「でも、いざそんな噂を聞いてしまったら

気になって仕方がないんだもん」


父「本当に隠さなければいけない事情があるのならば

取り敢えずはソッとしておくのがお互いのためだとは思わないかい?

もしかたら彼女も辛いのかもしれないし」


夢「・・・・・」


父「そこら辺の説明責任は彼女(安藤春奈)の方にある訳だし、打ち明けてくれるのを信じて、夢は静かに待つのが筋だと思うよ」


夢「でも・・・」


父「仮に彼女が札(顔)が多い只のメッキみたいな子だとするよ」


夢「うん」


父「必ず上手く誤魔化せなくて、直ぐにボロが出る筈だよ」


夢「・・・・」


父「彼女は夢を懸命になって助けてくれた人なんだろ?、お父さんは信じても良いと思うな」


夢「はぁ」


父「それにもしかしたら、本人自体は別に隠しているつもりは無いかもしれないしね」


夢「どうしたらいいのか・・・」


父「まぁ何にせよ待つしかないよね」


夢「それで良いのかな?」


父「仮にだよ、仮に自然な会話の中でそういう話になれば、それは仕方がないよね?」


夢「話してくれたら良いけどね」


父「それでも駄目ならば、待つのが彼女への労(いたわ)りだと私は思うな」



そして


父「それでも・・最期まで打ち明けずに墓場迄持っていく人もいるんだよね・・・

そんな奴は只の卑怯者だよ」と

言って、この前の時の様に何度も頷きだした。




お父さん、疲れてるね。




お父さんと話している時に気付いたのだけれど、私は単に春奈ともそうだけど、匠くんにどう思われているのかが気になっているだけで


性格などは二の次なんだなと


上っ面だけじゃなくて、ちゃんと向き合ってくれてるかどうかが知りたいんだって


ふと確信してしまった。


前の時のお父さんの言葉じゃないけれど


私自身が既に、どんな現実でも受け入れる覚悟が出来ているんじゃないかなと思った。



恋は盲目・・・的な。





こうしてお父さんと話し合った末

【春奈の出方を信じて待つ】

って判断で着陸して

その旨をゆみゆみ達に話した。



それが最善の策であると



一番無難な糸を手繰(たぐ)り寄せたのだと



その時は思っていた。



話は少し逸れるけれど


人がする行為には、全てにおいて必ずツケを払わなければいけない

例え誰にとって良い行為だと思っても。


100%皆が好意的に感じることは無く

何百人、何千人、何万人いる中でも数人は

必ず嫌悪感を抱いている


それらは対象者を貶(おとし)めたかったり


殺意を抱いてしまう。


それらのその報復を受けるのを



一般にツケと言う



まるでキング牧師の様に。




ツケは何処で生まれるかは不鮮明で


田嶋夢 で例えるならば


茶屋町駅での出来事の時であったり


野球観戦の時であったり


通う学校の生徒であったり


小野祐未可であったり


天瀬雪であったり


安藤春奈であったり


鈴木四郎であったり


森田匠であったり



又はそれら全てであったりである。





田嶋夢は知る由も無い





大きなツケを手繰り寄せている事を






18歳の誕生日を迎えられない事実を。







































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