第31話 何事も一球入魂! (鈴木四郎)
毎朝5時に起きて軽くロードワークに出る。
6時には帰って来て、特製ジュース(カロリーが高い食べ物達をシェイクしただけの恐ろしい飲み物)とバナナを胃に流し込んで、愛車のポルシェ カレラGT(只のママチャリ)に飛び乗り学校に向かう。
学校に着くと部室に直行し、練習ユニフォームに着替えてから素振り1000回、壁とキャッチボール1000回、グラウンド50周を熟(こな)す。
授業中は椅子からケツを少し離した状態で受け、常に体幹を鍛える。
昼食の時間は特製ジュースとバナナを流し込んで、スマホでプロ野球の試合動画を見ながらスクワットを絶え間なく行う。
放課後は午後7時迄部活練習に集中して
終わると直ぐ様愛車に股がり家に帰る。
家に着くと特製ジュースとバナナを流し込んで、色紙に書くサインの練習を1時間程する。
風呂場で隈無くマッサージを施してから
特製ジュースとバナナを流し込んで、ベットに入る前迄、ネットでトライアウトの情報を検索する。
そして・・・・・・・
夢の中で、安藤春奈とのけっ、結婚会見のイメトレをする・・・・ムフフ。
俺の平日のルーティーンはこんな感じだ。
予定が無い休みの日には、実業団の野球チームのグラウンドに行き、追い出される迄どさくさに紛れてノックを受ける。
俺は叶えるぜ!
必ずプロの野球選手になって、安藤春奈を迎えに行く!
そして沢山チューをしてやるぜ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
最近高い頻度で同じ夢を見る。
安藤春奈を追い掛ける夢だ。
いつも追い付けなくて、みるみる離れてゆくから
「ちょっと待って安藤!」と俺は叫ぶ
彼女は振り返りもしない。
彼女が向かう先には性悪な男達がタムロっていて、堪らずに
「そいつらと連(つる)んじゃ駄目だ!
俺の元へ来い!」と命令する。
しかし叫び終わる頃には皆消えていて、見失ったショックで項垂れていると
急に背後から
「子供はお家におかえり」と彼女の声。
振り返ると、安藤春奈が冷たい眼で俺を見ていた
何とも悲しい顔で・・・・・・。
ここでいつも目覚める
嫌な夢だ。
俺の学校に、最近転校してきた
天瀬 雪【あませ ゆき(A子)】の所為(せい)で
こんな夢を見出した。
あいつが・・・・
天瀬雪「あの女が何人男抱いたか教えてあげようか?」
なんて俺に言うから・・・
冗談だろと聞き返したんだけど
天瀬雪「あいつ、中央町で体売ってるよ
抱きたかったらお金渡したらいいよ」って
天瀬は笑いながら言いやがった!
嘘でも言ってはいけない内容だ。
嘘でも・・・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーー
高校が別々なお陰で、安藤春奈に会う機会が全く無い。
何処かでバッタリとか会っても良いのだが、不思議とそれすら無い。
まぁ会っても何を話せばいいのか・・・。
不安ばかりが募ってゆき
練習試合ではエラーを連発。
いかんいかんいかんいかん!
これじゃあプロになんかなれないぞ!
気合いを入れろ四郎!
彼女(安藤春奈)とは、幼い時分からの知り合いで
中学の時などは
ずっと目で追っていた。
俺はあいつ(安藤春奈)の事を今でも想い続けている
誓ってもいい、嘘偽りなど無い。
過去なんかどうでもいいし
野球選手が好きなのなら、俺が一流の選手になってやるし
死ぬまで不自由はさせない。
どうかどうか・・・・・・。
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森田から嬉しい知らせが入った
彼女(安藤春奈)と会える!。
そうだ!
試合を見てもらおう!
目の前で一流の片鱗を見せれば、俺を見染めてくれるかもしれない。
チャンスを生かさないと!
練習量を増やすぞ!
寝るのも勿体無い位だ!
特性ジュース増量だ!・・・・・・。
ー--------------------------------------ここからは森田匠の意識ー-------------------------
放課後鈴木の担任の先生に呼び止められた。
先生「鈴木のやつ体調崩して今日から入院なんだ、3日程」
匠「まじっすか?」
先生「今回で6回目なんだが、いい加減改善しないと、単位の関係上進級も危ういからななぁ」
「だってアイツは頭が悪いから」
匠「まじっすか?」
先生「おまえ友達なんだろ?、この書類を渡してくれないか?両親は忙しくて来れないみたいだから」
匠「まじっすか?」
先生「野球部も辞めて貰わないとな」
匠「まじっすか?」
先生「じゃぁ頼んだぞ」
匠「まじっすか?」
まじっすか?
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