第15話 オルレアンの乙女(前)
あの光景を目撃して以来、彼女の事が頭から離れない。
無意識に休憩時間や昼食時間を利用して隣のクラスには行くけど
静観することしか出来ないので
変化は無い。
なんとかしたいと
脈々と心の声が強くなるけど
どうしたらいいのかが解らない。
先生に相談しようか?とも考えた。
確かにそれが一番堅実な方法かもだけど
過去の私事で、先生の介入により更に拍車が掛かった経験がある。
あれは酷かった。
それにまた人に頼るのは、今の私には抵抗があるので、一先ず
ネットのQ&Aを利用したり、その手のノンフィクション本を見たりと、私に出来そうな手段をpick up してみて、その中から選ぼうと考えた。
だけどそうやって風呂敷だけは広げてみても
中身はちっとも貯まらなかった。
ぐぬぬねっ。
寝る間を惜しんで調べてみても進展は無く、自分の感度の悪さには呆れてモノも言えなかった。
電車の中でも同様で、結局何にも思い付かなくて溜息ばかりを量産してた。
程なく茶屋町駅に滑り込み、匠くんが真横に来ても、相変わらずzoneに浸っている私は
「大丈夫か?」と彼が声を掛けた時、初めて
ハッとばかりに我に還った。
心配そうな顔をする匠くん。
そんな表情もするのだと感心する半面、ピントは外し気味で質問をしてみるのも、この際アリかなと思い始めて
思い切って聞いてみることにした。
夢「ねぇ、聞いてもいい?」
匠「何を?」
夢「もしも困っている人がいたら、どう助ける?」
匠「相談に乗る」
夢「相手が聞ける状況じゃなかったら?」
匠「じゃあ、とりあえず助けるかなぁ。
その後で聞く」
夢「相手が拒否ったら?」
少しの間だけど、匠くんは私を真顔で直視すると静かに語った。
匠「ジェンヌ、この世の中に正解なんて無いよ、当事者同士で擦り合わせて合点する、その繰り返しだけだよ。」
「合点がいかないと衝突する、それは自然現象で、リスクを負うのは当然なんだと思う。」
「だから嫌な事も全て受け止められる覚悟ができてから、人に関与しないと駄目だと思うよ。」
「思ってる程人間は清く無いよ、ジェンヌ」
最後の言葉だけ、匠くんの念の込め様が凄かった。
彼も色々あったんだなぁって思った。
確かにマイナス要素ばかりはすぐに浮かぶ。
ソコだけ見てると行動なんて移せない。
全てを受け入れるか・・・・・。
岡山駅に着いて別れ際に
「ジェンヌらしい手段が最適だよ!何をするにしても」と匠くんは言った。
この言葉は私に突き刺さった。
私らしさ・・・・・か
だとしたら、手段は1つ有る。
学校に着いて、再度彼女(春名)が受けている行為を見ながら、私は覚悟を決めた。
私らしく、誰にも迷惑をかけずに、且、彼女を救う方法・・・・・
今日は木曜日・・・明日実行!
決戦は金曜日!
ん・・・・?
そんな歌、あったよな?
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