第14話 弱者
第一印象とその後の受け止め方には違いがあるものだけれど
彼(匠)は真逆に振り切ってしまう。
私が持っていたイメージでは寡黙で、背中で語る感じのする
まぁなんていうか昔気質って人だと思ってた。(ヘッドフォンは愛嬌)
ところが限られた範疇(電車内と駅等)だけど、実際は・・・・軽いイメージで
チャラい迄はいかなくても、留め金が緩いかなと思った。
ちょっと違和感を感じたけど。
気持ちが冷めたんじゃなく、只私が苦手なだけの話で
まぁ付き合っては無い訳だから、とりあえずは距離取っとけば良いのかなと
無理くりだけど胸中で纏めた。
疎縁にはなりたくないからね
とりあえず様子見ってとこかな。
相変わらず取り留めのない話が多く、聞く姿勢になっても返す言葉が無い。
会話が不得意な私だけれど、多少のキャッチボール位は出来ると思ってた。
で、結局顔ばっか見るのよねぇ
私、赤くなってるんだろーなー
まぁいいけど
なんか
不思議と気分はいいし
体も少し軽くなったし。
帰りも出会ったらこんな感じでずっと聞き続ける。
ネタが尽きたらどうなるんだろう?と興味が湧いてきたりするけど
その心配は無さそうな気がする
そうやって考察しながら
有意義な時間が過ぎてゆく。
そんな感じで数日経ったある帰りの電車内で
ようやく私が返答出来る話題が持ち上がった。
匠「ジェンヌの学校って〇〇高校だよな?」
夢「そだよ」
匠「安藤春奈って知ってるか?」
えーっ、私差し置いて他の女の子の話ですか?
流石にそれは嫉妬しちゃいますよーって、誰それ?
私は首を横に振る。
匠「あっそう」
夢「その人が何?」
俄然気になるので声が出る。
匠「俺の学校の連れがさ、その子推しなのよね」
「だからどんな奴かなーと思ってさ」
夢「匠くんも気になるの?」
積極的に声が出てる私、危機感からかしら?
匠「結構推してる奴が多いからな、で、ジェンヌは同じ学校だから聞くのは当然でしょ?」
いまいち腑に落ちないけど、頷いて見せるしかなかった。
根本的に、私はその【安藤春奈】って子は知らない。
他校にも名の知れる存在
その子に俄然興味が湧いてきた。
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次の日の学校で、早速捜査を開始する。
生徒の事は先生に聞くのが一番だし簡単なので、担任の先生に相談してみる。
結果はアッサリで、隣のクラスの同級生だと判明した。
アルバムで顔も確認する。
ムムっ、可愛い予感が・・・・。
とっ、兎に角
居場所が判れば拝見するだけ・・・・声は・・・
まぁその子の性格次第で決めよう・・・・。
もし上手く仲良くなれたら、匠くんとの話のネタにもなるし
念願【自分の力で進展】が叶う可能性も出てくる訳だし
方向が決まれば、論より証拠とばかりに休憩中に覗きに行った。
そうしたら
衝撃的な光景を目にした。
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アルバムに載っていた子【安藤春奈】は、数人の女子生徒らに雑巾の様な物で
顔などにイヤガラセをされたいた。
教室には先生はおらず、周りのクラスメイトも見て見ぬ振り。
歯止めが無いその加害者側は、何か因縁をつけては、その子の机や椅子、その子【安藤春奈】自身にも、気晴らしとばかりに蹴ったり叩いたりを繰り返していた。
まんま私だ。
側から見ていて、初めていじめはこれ程残酷な行為なんだと実感した。
自分がされていた時はそこ迄思わなかったけれど
胸が締め付けられ、痛くて仕方がない位に衝撃を覚えた。
私の様な性格だと、助けに行く勇気なんて生み出せる訳もなく
只々、彼女がボロボロになる姿を眺めるしかなかった。
そして始業のベルが鳴り、教室に戻る。
震えが止まらない。
この学校でイジメられてるのは私だけだと思ってたから。
ヒドイよ、みんなひどいよ
それにどうやって匠くんに説明するの?
あーまた体が重くなる・・・・。
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