第13話 ジェンヌ田嶋
次の日の体の重いことオモイコト。
家から駅までは自転車に乗るけど、タイヤの空気が抜けてるんじゃないかと思う位ペダルが重かった。
全部坂道じゃないか?、とか
後ろから誰かに抑えられてるのでは?、とか
とにかく重くてしょうがなかった。
まぁ
普通に立ってても
座ってても重いんだけどね。
今も昔も食事の量は少な目だけど、最近みたく体調不振になどならなかったので、そこは関係ない。
まぁ、なんてゆーか
原因は解ってるのに、放置してたのが問題なんだけどね。
駅に着いても足が重い。
ホームに着くと其まで以上に足が進まなくなり、電車が着てドアが開いた時には、ピクリとも動かなくなってしまった。
他の人は乗り込んでゆくのに
私はボーっと突っ立ったままで
ホームで一人になった。
際限なく立ち尽くしていると、見限る様に発車のベルが鳴りだして
「乗らなきゃ」って、思っていても
動くことが出来ない為
結果
遠くで駅員さんの声が微かに聞こえたのを最後に
気を失ってしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
気か付くと車内の座席に座ってた。
不思議。
小刻みに線路を叩く音が頭に響いてくる。
今日は乗る時間を間違えたと勘違いする位、常客が殆んど居なかった。
お陰で慌ててしまった。
スマホの時間を観てようやく落ち着く。
落ち着くと、又考え込む。
最近考えてばっかだな
あーそういうの【鬱】ってゆーんだよね?
じゃあ私は病人なんだ!
あー病人なんだ・・・・・
納得。
家族や友達の努力で、のらりくらりとしてきたけど
けっこう滅茶苦茶だよね、
不満ばかりが脳裏を廻る
何にもしてないのにね・・・・・。
誰かが投げた紙飛行機の様に
あてもなく
他人の力で飛んで
落っこちて
誰かが拾ってくれるのを待つ
これが私。
こんな性格でポジティブになんかなれっこないよ。
どーしたらいいんだろう?
いきなり陽キャになれる方法を、誰か教えてほしい。
あっ、名前変えたら性格変わるかも!
家出とか?
いやいや
あり得ない。
そんな根も葉もないこと考えてたら
誰かの声が
「ジェ・・・・」
?
「ジェン・・・・ヌ」
?
「ジェンヌ」
ハッキリと聞こえてきた。
声がする方向に顔を向けると
えっ!
匠くん?
「聞こえねーのかよジェンヌ」
匠くんが声を掛けてくれてた。
なっ、なっ、なっ、なっ、なっ
どーして?
匠「流石にあのオモロ母さんと父さんはいねーな」
嬉しそうに喋ってる!
匠「駅の外のアレ、最初はビビッたけどよ、後で考えたら面白くてさ、笑い転げちゃったよ」
ふひー
匠「おい、何か言えよジェンヌ」
ジェンヌって何だろう?
匠「あっ、お前今日からジェンヌな!」
「お前の両親、宝塚っぽかったからなー、だからジェンヌ」
はーーー?
男子って適当なあだ名付けるの天才よねー、ジェンヌって女役って事よね?
多分それだけの意味よね・・・・
ぎゃあーーーーっ
ヒドイ。
それから岡山駅に着く間中、匠くんはマシンガンの様に喋り倒した。
内容は浅い話ばかりで
靴下に穴が空いてたとか
友達にじゃんけんで負けたとか
夜更かしして眠いとか
etc・・・
凄く嬉しそうに喋ってた。
めっちゃドキドキしたけど
私の方を向いて話してくれてるって
何か最高❗
あー、私をみてるー♥️
話が頭に入らず、顔ばっか見ることに集中してしまった。
頷きながらとか
愛想笑いとかしながらガン見した。
こんな時に、【時間が止まればいいのに】ってワードが浮かぶけど
私は止まらなくていいな
誰も邪魔さえしなければ。
岡山駅に着いて、東と西に別れる辛さは何とも言えない。
「またな、ジェンヌ」と、手を振りながら見送ってくれた匠くんが、一瞬別人に見えてしまった。
何故って?
今でも信じれないから。
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