第11話 猿芝居の母さん(2)
お母さん、岡山駅まで車で来てくれてた。
万が一に備えてって言ってたけど、
テレビみたく、所轄に移送されるとか考えてたのかなぁ? (なんじゃそりゃ)
髭面のおじさんに
「かつ丼でも食べるか?」とか言われて
「洗い浚い(あらいざらい)吐いちまいな!」
とかでオイオイ泣いちゃったりして、キロロの曲が流れたりして・・・・なんて
昼の再放送のやつだな・・・母さんの録タメで観たやつ・・・・
あーいかんいかん!
犯罪者気分を味わえただけで、十分お腹一杯なんだよう
もう懲り懲りなんですー。
って
まぁ、なんだ
私の事はさておき
さっきのお母さんの様子だけど、みしゅなんに乗っかって来たのか、親として心配して来たのか、どっちなのか判んなかったなぁ。
詰所でのリアクションは、かなり大袈裟でしたから。
そうなんだよねぇー、なんか
楽しんでるってゆーか・・・・・
フザケテルってゆーか・・・
楽しんでくれてたらいいんだけどねー。
って
いいのかよ!
とっ、 とりあえず無事釈放されたので
車へ向かうことにしょう。
時間もだいぶ経ってるし
気付けば日も落ちていて、メッチャ暗くなってるし・・・。
夜の街(大きめの)をマジマジ見る事は基本無い。
岡山駅周辺の夕方以降の景色を、帰宅部の私が見る事は難しいけれど、今回みたくイレギュラーが発生して【別の顔】が拝めるのは、チョッとだけ大人の気分にさせてくれるイベントとしては良かった。
ビルの明かりやネオンの光、車のライトなんかが、早めのクリスマスツリーに見えたりもして
そんでもってキラキラしてて、綺麗だった。
車に乗り込んで、それらが車窓に止めどなく流れてて
漠然と眺めてたら
なんか東京での生活を思い出した。
中学時代の友達の事とか。
私は、大人しいのに頑固者、心情は語らないのに求愛家だから面倒くさいって、沢山の人から言われて敬遠されてたけど
岡山に来た【ゆみゆみ】
アドバイザーの【みしゅなん】
妄想が強い劇場型の【マー吉】
の三人だけは、中学時代の3年間をトコトン付き合ってくれたなぁ
ゆみゆみは幼馴染だけどね
でも
本当に楽しかった。
負けず劣らずのキャラクター達
四人居たら怖いモノなんて本当に無かった
メチャクチャ喧しいけどね。
純粋無垢の世間知らずかもだけど
止めらない勢いがあったなぁ。
それを皆止める気は無かったし
止まると死んじゃう位にまで想ってた。
東京の街を4人で探検もしたし
ほんと毎日がワクワクだった。
だから今でも自信を持って言えるな
いい思い出ばっかで
いい友達ばかり。
岡山に移っても、今まで通りに接してくれる懐のデカさ・・・。
ちょっち私で遊び過ぎだけどね。
マジで有り難うって言いたい。
近い内に【マー吉】にも連絡しとこ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
意識を戻すと
車の中でもお母さんはウルウルしてた。
みしゅなんとの作戦の擦り合わせをしようとしても、反応は俄然鬼悪く、何故か励ましてくる始末
「夢ちゃん負けないで、私が明日にでも話をつけるから任せておいて!」 って。
本気でそのテンションでいくの?
マジで?
あーヤメテ、ハズいから。
夢「お願い、そっとしといて」
って言っても聞かない。
お母さんの意思は固くて諄(くど)かった。
何を吹き込んだのよ、みしゅなん!
堪らずLINEで問い正す。
ーーーーーLINEーーーーーーー
夢 (お母さんが壊れてるよ!)
みしゅなん (よしよし)
夢 (じゃねーよ)
みしゅなん (後は夢の母さんにやらしとけ、合わしときゃいいって説明したじゃん!)
夢 (困る)
みしゅなん (お前ねぇー、ズルいよ)
夢 (何が?)
みしゅなん (夢が私に持ち掛けてきた相談 でしょ?)
夢 (そっ、そうだけど)
みしゅなん (あの男子と御近づきになるんでしょ、弱虫姫様)
夢 (ゲムムムムッ)
みしゅなん (では、私を信じておやりなさい、さあ、おやりなさい)
夢 (グムムムムッ)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
確かに私から相談した話だけど、みしゅなんがここまでハッスルするとは、全く想像もしてもいなかった訳だし・・・・。
失敗した時の事、考えてくれてるのかなぁ?
向こうの受け止め方次第では大惨事だよー。
不安しかねーよ。
それに
それに輪を掛けて
帰れば帰ったで私のお父さんなんかも、 みしゅなんみたく壊れてて
「お父さんも参加したいなー」なんて言ってくるし
乗りに乗ってお母さんと予行練習始めるし・・・・
さ、三文芝居・・・
いや、猿芝居。
バレるバレるバレるバレるバレるバレるバレるバレる。
諦めて寝ようと思いベットに潜り込むんだけど、全く寝れない所か目の前にサルの幻影が見えてくる始末。
その幻影のサルも子芝居してた。
あー猿芝居か。
いやいや
そこはどうでもいい
お願い、明日が来ないでー。
つって
いくら願っても朝は必ず来るもので
はい夜が明けた。
起きて学校の支度をしてると、お母さんが
「車回すから、準備しといてー」って声を掛けてきた。
いやいや、帰りだけでいいっしょ!
って言っても無理で
いくら困った顔を見せてアピールしても、お母さんは
「車の中で作戦会議よ、夢ちゃん!」と
興奮一入(ひとしお)で、実行不可避の様相。
まじヤバい
あかん
絶対失敗する。
そして怒涛の猿芝居の舞台が・・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます