第35話:コクーン プロローグ

 東の空から朝の光が漏れ出している。辺りは静寂で包まれ、小鳥の声さえ空に響き渡る。そんな朝方、1人の20代の女性が受話器を片手に話していた。


「ほら、もうすぐ近いじゃないですか。

 そんな間柄になれたのかって?ほんと最近なんですけど話してくれるようになったんですよ!

 この前なんて私の首飾り綺麗って言ってくださったんですよ!

 似たようなものをプレゼント?流石にそれは…喜びますかね?

 どんなのがいいかなぁ。

 なんですか、教えてくださいよ

 "海の雫"?オシャレな名前ですね。また調べてみます。

 わかりました、もしも決まった時はお願いします。シャスール機関本部に私宛てで。

 こんな朝早くありがとうございます!失礼します」


 彼女は受話器を元に戻し、深呼吸をした。


「おっともうこんな時間だ行かないと」


 駆けていく彼女の足取りは軽いものだった。

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