無人島生活(後半)
無人島生活6日目
心許ないが水を確保した
食べ物も不足だが
貝と海藻がある
腹に入ると安心感からかすぐ眠れる
森中で枯れ木を探す
雨で湿気てる
天日干しすれば使えそう
浜へ戻り
石を積み
苦労して火を焚く
簡易かまど
貝を炎に放り込み
焼き貝にした
こんなに美味い物があったのか!
無人島生活7日目
雨水が尽きた
大事に使ったつもりだが
殆どが蒸発してしまった
こんな事なら全部飲んでおけば良かった
嵐で流れ着いた流木を拾いつつ
浜沿いを散策する
絶壁を登り
岩山を越えた時だった
遥か向こうに船影が見えた
「助けてくれ!」
枯れた声で絶叫し
大きく手を振った
無人島生活8日目
ようやく見かけた船影
大声を上げ跳び跳ね手を振ったが
汽笛を鳴らしながら遠く去って行った
絶望感に打ちのめされる
岸壁を戻る気力も無い
水が無く乾きは限界
岩肌にこびりついた苔を口にしてみると
若干の水分を感じる事は出来たが
土か砂利でも食べているようだった
無人島生活9日目
水が欲しい
水を飲みたい
水水水…水の事しか考えられない
もしかしたら飲めるのでは
以前失敗した事も忘れ
妄執に囚われて海水を飲む
やはり駄目だ
喉が焼ける
渇きが増す
海岸の海藻を拾って食す
以前はよく眠れたが眠れない
何もする気にならない
もはやこれまでか
無人島生活10日目
極度の飢餓と脱水状態
このまま干乾びるのか
死を覚悟した
ただただ青い空を見上げ寝ていた時
何か電子音のようなものが…
「…か…」
「…れか…ませんか…」
ガバッと跳ね起きる
視界に飛び込んだのは
通報を受け巡回に来た
海上保安庁の純白の船体
「ここです!」
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