第48話 校長室直属『女学院憲兵隊』、PCを没収する

「ホーーーッホッホッホッ!!

コンピューターの所持は、校則で禁止されているわ。

だというのに、このマンガ研究部には、大量のタブレットとペンタブを隠し持ってるっていう不届き者がいるっていうウワサが耳に入ったの。家宅捜索をさせてもらうわ。私たち、女学院憲兵隊が全部没収するわよ!」


入ってきたのは、まさかのチア部のエース・櫻井エリカとその取り巻き数名だ。

いつの間に、チア部から憲兵隊に鞍替えしたのだろうか。


「エリカちゃん、な、なんでこんなことやってるのよ!? てか憲兵隊ってなに!?」


「フフッ。あかり、ひさしぶりじゃない。相変わらず、お気楽そうで何よりね。

 そう…私たちは、校長室直属・女学院憲兵隊。憲兵隊は、コンピューターを持ち込んでいる不道徳な生徒を見つけ出して、没収する役目を校長から請け負っているの」


「ええっ!? エリカちゃん、いつのまに体制側になってるのよ!? チア部はどうしたのよ!?」


「くっ…誰なんだ、漫研にタブレットがあることをチクったやつは…」


漫研の部長が唇を噛む。おそらく、内部関係者からのリークだろう。

そうこう話している間にも、エリカの取り巻きの憲兵隊が、部室中の机や引き出しを許可もなく開いたりひっくり返したりしていく。


「エリカ様! タブレットを発見しました!!」


美青年同士が絡み合うBLマンガがビッシリと詰まった本棚をずらすと、壁際に隠されていたタブレットが現れた。


「フッフッフ…こんなところに隠すなんて、バレバレよ。

さあ、ここにあるタブレットとペンタブを全部没収しなさい!」


エリカが命令すると、女学院憲兵隊たちがササっとペンタブ一式を強奪していく。これらは、漫研の将来の発展を願う漫研OGによって寄贈された貴重な電子機器である。


「ちょっ、待ってよ、返せ! それは、偉大なマンガ研究部の先輩方が寄贈してくれた大事なタブレットなんだ!」


部長の声もむなしく、憲兵隊はタブレットとペンタブ一式を強奪して、サッサと部室を去っていった。



「くそっ…」


タブレットを奪われ、マンガ研究部の部長がうなだれている。

あかりはやさしく部長をなぐさめた。


「絵を描くのに道具は関係ないだろ…」


「そうだよね…。このままだと、くすのき女学院がやばい。それにいずれ、プログラミング部も校長のターゲットにされてしまうはず。プログラミング部がパソコンを奪われたら、今やっているゲーム開発どころか、そもそも何もできなくなっちゃうわけだし…」


女学院の一生徒に過ぎないあかりに、なすすべはない。しかしだからといって、このまま校長たちの横暴を黙ってみているわけにもいかなかった。


プログラミング部の玉木先生に相談してみるか、それとも情報通の新聞部のミチルに相談するか…。できることはすべてやってみようと、あかりは心を決めた。





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