第34話 チア部、プログラミングに目覚める!?

昼休みのパソコン室。なぜか、チア部のメンバー数名がなにやらマジメそうにパソコンに向き合っている。なんとも珍しい光景だ。


例のメイカーフェア企画会議の後。チア部の一部の部員たちが、プログラミング部のアイデアに興味を持ち、Processingを使って自分オリジナルの模様づくりをしはじめたのである。


「イブサンローラン風の小さいドット柄をつくりたいんだけど~!」


「水玉模様だな。それなら、入れ子ループで図形を縦横に敷き詰めるっていう最初の例題を応用してつくればいいんだ。円のX座標の並びを交互にずらすことで、ドット柄になる」


「これをもっと草間彌生みたいなドットにするにはどうしたらいいの?」

「く、くさま? 待ってくれ、どんな柄なんだそれは…」


「アタシのこの長財布、ルイ・ヴィトンのダミアアジュールっていう格子柄なんだけど、これみたいな模様をつくるにはどうしたらいいの?」

「ブロックチェック柄だな。これも基本は水玉と同じだ。円を四角に置き換えればいい」


「バーバリーのタータンチェックの色違いをつくりたいんだけど!」

「複数のやり方があるな。色を配列に使うとかんたんにできる。四角の並びを横の列・縦の列から見てそれぞれ偶数か奇数か判定して色を決める方法もあるが」


ルイが、次々と寄せられるチア部部員の質問に続々と回答していて忙しい。


「すごい、いつのまにルイちゃんプログラミング講師になってるの?」


あかりとしのぶが教室の後ろで舌を巻いている。


チア部のメンバーは、性格は悪いが、意外と美的センスがいい。やはりプログラミング部のセンスゼロの女たちとは違って、洗練された女性らしい色使いの模様を次々と生み出している。


「これ、意外とおもしろいね」


チア部の1人がそうつぶやいた。

いつも、多少他力本願なところのあるチア部メンバーたちが、自分たちのオリジナルの何かを楽しそうにつくりあげているのは、見ているほうも面白かった。



チア部の一部部員の信頼を得たルイの尽力により、櫻井エリカはしぶしぶ、プロジェクションマッピング形式のファッションショーに同意してくれることになった。

それぞれ、思い思いにプログラムした模様を投影するだけだから、場所も取らないし、そうそうケンカになることもないだろう…

ファッションショーも成功に近い。そうあかりが安心していたとき、ついにその事件は起きた。

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