第11話 カースト底辺部活を調査せよ

みんなが学内の部活見学ツアーに出かけていき誰もいなくなったプログラミング部の部室で、顧問の玉木先生が一人、部室のPCをチェックしていると、ガラガラと扉が開き、途中でうんざりしてツアーを抜けてきたルイが入ってきた。


「おー、早かったな。もうツアーは終わりか?」


「先生、なに部室のPCチェックしてんだ。アタシは本当になにもやってないぞ」


「はは、君たちを疑ってるわけじゃないよ。ただのメンテナンスさ」


「なあ、先生」


「はあ?」


「あかりの親が、『殺人ゲーム』みたいな危険なゲームをつくった部員がいるから、プログラミング部は辞めろってさ」


「…」


「ハハッ、もう退学したほうがいいかもな、アタシ」


「気にするな、というのは無理な話か…」


「もう少し部には居るよ。先生にはあの件の処理でいろいろ感謝してるからな」


   ※


「ふぁー、暑かったー!!ただいまー!」


あかり、しのぶ、そして新聞部のミチルがツアーから戻ってきた。


「おー、ツアーはどうだった。なんか収穫あったか?」


「新しい部室棟に行ってきたんですけど、ピッカピカで、格差社会を感じましたー!」


あかりがおバカな感想を述べた。


「じゃあ、校長に恨みを持っていそうな、理系マイナー部活の調査を片っ端からやっていくしかないわね…」


やる気満々のミチルが、調査したい部活をリストアップしてさらにホワイトボードに加筆する。

囲碁将棋部、サイエンス部、天文部・・・。


「ちょ、なんでミチル、そんなにやる気なの?」


「スクープをとりたいからに決まってるじゃない! あんたたちに別に興味はないけど、利害が一致してるってことで一緒に活動しましょうよ」


「わかった。でもどうやって調査するの? 『あなた達を疑ってるから聞き込みにきました』なんて、拒否されるに決まってるじゃない。ただでさえ、うちら普段からあやしまれてるプログラミング部なのに」


しのぶがますます卑屈になる。


「なんか口実が必要だな」


みんなが黙っていると、玉木先生が助け舟をだした。


「これはどうだ?

今度の文化祭で、プログラミング部として行う展示発表で、調べたいことがあるから、インタビューしたいっていうのはどうだ?

展示テーマは『他の部活の活動内容が実はいかにプログラミングと関係しているか』 。その取材のついでに雑談がてら、内情を探るって寸法だ」


「さすが、玉木先生! そのアイデアいいですね。それならルイちゃんも一緒に取材に来てくれなきゃ困るね!」


「グッ…」


玉木先生はルイにむけてニヤリと笑いウインクした。


「あかりとるいチーム、しのぶとミチルチームで、手分けして探そう」

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