第2章 犯人は誰だ!? 女学院ウェブサイトハッキング事件

第7話 女学院WEBサイト、改ざんされる

「ちょっと、あかり! 例のウワサのあれ、見たー?」


朝、あかりがいつものように教室に入ると、なんだか、教室の空気がソワソワしている。新聞部のミチルが目をやたらキラキラさせて、あかりに尋ねた。ミチルは同級生で、学校一のゴシップ好きだ。編入生のあかりにいつも学校のいろいろな情報を教えてくれる。


「な、なに?どうしてこんなみんな浮ついてるの?」


「学校のウェブサイトが何者かにハッキングされて、改ざんされたんだって。今はもう修正されてるんだけど、スクショが出回ってて、どうやらネットでも話題になってるらしいのよ。ほら、いいから見て」


ミチルが見せたスマホに示された画像は、女学院公式HPの、校長先生および職員の紹介ページのスクリーンショットだ。

校長先生の挨拶の下にくすのき女学院のマスコットキャラ「くす☆りん」の挨拶が掲載されているのだが、そのカワイイキャラの写真としかめっ面をした校長先生の写真が、何者かによって入れ替えられているようだ。校長がマスコットに、マスコットが校長になっており、それぞれが学院についての熱い想いを語っているのである。


「ぐっ・・・プッ・・・」


あかりは必死にこみあげてくる笑いをこらえた。

しかめっ面の校長が「ぼく、くす☆りん。この学校の愛されマスコットキャラだよんッ☆」みたいなことを延々と語っているのである。


「えっ…このスクショ、もうTwitterで2万RTもされてんじゃん…やばくない?」


「誰がこんなことしたんだろう? 先生の更新ミス?それとも、女学院の生徒の誰かのイタズラかな?」


「事務的なミスか、学校への恨みか、ただの愉快犯か… 様々な可能性があるわね。これは事件の匂いがするわ!」


       ※


「ぐぬぬぬッ…誰だこんなことをしたヤツはーッ!」


職員会議。くすのき女学院の校長が、顔を真っ赤にしている。


「ウェブサイトの管理はどうなっているんだ―ッ!」


ウェブサイト更新担当の古文の先生・相田先生がふるえあがっている。


「ヒッ…もっ…申し訳ありません…!!」


「1年前、『殺人ゲーム』をつくって問題を起こしたプログラミング部の早乙女ルイの仕業である可能性は高そうね。ネェ、玉木セーンセ?」


そう言うのはチア部の顧問、如月みずき先生である。自身もくすのき女学院のチアリーディング部OGであり、愛校精神は教員の中でも人一倍強い。


「生徒をはじめから疑って掛かる前に、まずはウェブサイトの管理体制を見直すことから初めていただきたいですねえ、如月先生」


プログラミング部顧問・玉木先生がやんわりと如月先生の先制攻撃をかわした。


「なんとかこの画像をネットから消す方法はないのかーッ!!!」


「いやぁ、それは無理な話ですねえ・・・もうこんなに世間に広まった状態だと…」


玉木先生はニヤニヤを噛み殺している。校長の慌てぶりがおかしいのだろう。


「あらァ、玉木センセ、なんだか楽しそうじゃなぁい?なんか知ってるんでしょーん?」


「いやいやボクは何も知りませんって…っと、問題の写真はこれでしたっけね」


玉木先生がこっそり相田先生のPCに近づき操作をした。例のスクショが大画面で会議室のプロジェクターにデカデカと映し出される。


女学院公式HPの職員紹介ページで、威厳のある顔をした校長先生が「ぼく、くす☆りん。この学校の愛されマスコットキャラだよんッ☆ヨロピク」みたいなことを語っている、例のスクショだ。


「プッ・・・グッ・・・ふはははははは!!!」


如月先生と相田先生が我慢できずに爆笑してしまう。


「こらーッ!!何を笑っとるのかーッ!さっさと犯人を探すんだーっ!!」


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