第21話 スパの牛乳 [にいづましょうぎコラボ(2/3)]

リラクゼーションルーム前では遼が男性と話していた。

(なかなかのイケメンね。)

彩香が心の中で呟くと、男性が彩香と一緒に来た香織に声をかける。


「かおりん」


彩香は香織の方を見て聞く。

「かおりん?」

「はい」


小声で香織に聞く彩香。

「ってことは。。。あの人が噂のしゅーくん?」

「はい。修司さんです。」

「。。。なかなかかっこいいわね」

「あ、だめですよ彩香さん。しゅーくんは渡しません。」

「あ、それは大丈夫よ。私、旦那変えられないから。」

「すごい自信ですね。。」

「事実なのよ。。お互いもう普通の生活には戻れない気がするわ。。」


意味ありげな二人の女性に対して男性陣が声をかける。


「あやちゃん、聞いてよ。さっきサウナで詰将棋解いてたんだけど、一緒にいた園瀬さんも解いてて。話してみたら気も合うし、連絡先交換してるところだった。」

「噂の修司さんね。」

「かおりん、噂してたの?」

「ごめん、ノーコメントで。」


ここで何気なく遼が戦端を開く。


「ちなみに詰将棋はどうだった?俺も修司さんも九手詰めまで解けたけど。」

「9手詰まで全部解いたわよ。当然。」

「引き分け、だね。」


おもむろにばちばちと視線をぶつける遼&彩香。


「すごいな、お互いに力を高め合ってる。」

「しゅーくん、そんな高度な争いじゃないと思うわ、私。。」


四人でリラクゼーションルームの前でわちゃついてると、リラクゼーションルームの中から声をかけられる。


「修司君、香織さん。イベントが進まん。中に入ってはどうだ?」

「すみません、穴熊さん。」


「「穴熊さん。」」

遼と彩香の呟きがハモる。


「すごい名前ね。。。」

「修司さんにさっき聞いたんだけど、穴熊を指させたら右に出るものなしって言う強豪らしいよ。」

「そうなんだ、、、是非さしてみたいわね。」


話している二人に穴熊が声をかける。


「そちらのお二人は修司君達の知り合いかな?よければイベントに参加していってくれたまえ。二人ともなかなかの棋力と夫婦愛を持っていそうだ。」


「「夫婦愛」」

再びハモる。


「なんか漏れてるのかしら。気をつけなくちゃ。」

「両方外見ぱっと見でわかるようなものじゃないと思うんだけど強豪ともなるとそんなことまでわかるのか。」

「あれ、このノリについていけない私がおかしいの。。。?」


独り呟く香織に気づかず、遼と彩香は穴熊に誘いに応じて修司、香織と一緒に四人でリラクゼーションルームに入る。


中に入ると、5面ほど将棋盤が準備されている。

彩香がせっかくなので将棋さそうかと思っていると、真ん中に設置されてる黒板に目が止まる。


『夫婦の日イベント 夫婦でペア将棋!

 参加賞:将棋サロン棋縁入場チケット

 勝利賞:指導対局権&フルーツ牛乳2本』


「りょーくん。」

「なに、あやちゃん。」

「フルーツ牛乳よ?絶対勝たなきゃ!」

「前も言ったかもしれないけど、俺風呂上がりはコーヒー牛乳派でさ」

「。。。ほほう。ペア将棋の前に決着をつけなきゃいけない相手がいたってわけね」

「まったく。。。無駄な戦いが多すぎるね」

「空いてる盤で勝負よ」

「望むところ」


二人のやりとりを横で見る3人。


「すごいな、遼さんも彩香さんも。棋力が昂っている。」

「まったくだな。これもある意味理想の夫婦と呼べるのかもしれん。」

「え。すごくどーでもいい戦いに見えるのはわたしだけ。。。?」


盛り上がって盤の前で対局始めようとする二人に穴熊が声をかける。


「水を差すようで悪いのだがペア将棋は間も無くエントリー締め切るのだよ。参加するならそちらの勝負は後にしてもらえるかな。勝利賞は1つコーヒー牛乳に換えても良い」

「りょーくん、命拾いしたわね。」

「俺のセリフだよ、あやちゃん。」


お互いの主張が通ったことで一旦この場は収め、遼と彩香はペア将棋にエントリーした。



(22話へ続く)

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