第3話 戦闘
俺の心配をよそに所長指揮のもとネクロマンサー達を迎え撃つ準備が進んでいた。 全員がこの街の墓守だ。 街には衛兵などもいるが今回は墓守だけだ。
俺は彼らを死地に向かう兵士たちを見るような目で見ていた。
「やはり言うべきじゃないですか。 自分がやったと」
「そうなんだが……なんか言いずらくて」
俺は相変わらず自分から言い出せずにいた。 そうこうしている内に見張りをしていた大人たちがやってきた。
「来ます! 数はそんなでもありませんが死人が歩いてます」
「そうか来たのか」
クロネの予想通り今回も死霊たちと共にネクロマンサーがやってきた。 いつも夜だったので昼間だと余計異様さが際立つ。 率いてるのはいつものネクロマンサーだった。
ゾンビより骸骨が多かった。 近接がだめなら遠距離攻撃。 と、 いう考えだろうか。
集まった大人達から驚きの声が上がった。 話には聞いていたみたいがゾンビや骸骨といった化け物をみるのは初めてなので驚いたようだ。 所長たちは武器を構えた。 所長の合図とともに一斉に斬りかかった。
所長が武芸がとくというのは本当のようで、 骸骨どもを斧で蹂躙する。
ほかの墓守たちも善戦していた。 今回は俺の出番はないのではと思い始めていた。 クロネはまだ安心できませんと言っていたが俺は自分の出る幕がないと安心していた。 ある時までは。
素人目からみても所長たちが出すぎているのが俺にも分かった。
やがて所長たちは囲まれてしまった。
「不味いぞ! 囲まれた」
それでも奮闘するがやがて防戦一方になる。 それも多勢に無勢。
俺はリロの制止も聞かず飛び出した。 俺は剣を片手に突貫した。
文字通り、 ゾンビや骸骨を弾き飛ばした。 時には剣を振りゾンビや骸骨を切り裂いていく。
ものの数分で所長達にたどり着いた。
「所長! 退路ができました。 そこから逃げてください。 後は俺が何とかします」
所長は驚いていたようだがすぐに気を取り直して逃げていった。
それからの展開は一方的だった。 すぐに俺は嵐のような剣劇で圧倒すると前に進んだ。
そこにはもはや知り合いといってもいいぐらい顔を見たネクロマンサーが立っていた。
「よく来ましたね。 探しましたよ。 てっきり来ないんじゃないかと思いましたよ」
「ふん。 お前たちが来たらこないわけ行かないだろ。 つーか帰れ」
「なにいってるんですかお楽しみはこれからですよ」
弓を持った骸骨たちが一斉に弓を構える。
「今です。 殺しなさい。 いくら貴方でも飛び道具には敵わないでしょう」
一斉に放たれる矢を俺は躱すとすぐさま間合いを詰めた。 そして一瞬で弓持ち骸骨を撃破する。
残されたのはネクロマンサー一人だけだった。
「そ、 そんな。 飛び道具さえも通用しないなんて……」
「消えろ。 もう二度と来るな」
俺は腰を抜かしたネクロマンサーに言った。 頷くと何度か転びながら去っていった。
俺は元居た場所に戻ろうとすると歓声が上がった。
「ヤードお前すごいじゃないか。 全部倒したぞ」
大人たちに囲まれと労いの言葉をかけられる。
「墓場で戦闘があったのは本当だったんだな。 やはりお前だったか」
班長のボルガがいった。
「ずっと言おうと思っていたんですがなかなか言えなくて……」
「いや、 いい。 お前のおかげで皆が助かった。 これからも力を貸してくれるな」
「はい。 もちろんです」
みんなから拍手をされなんか照れ臭いな思いながら集まった面々をみていたらクロネも混ざって拍手をしていた。 気になったのはリロがずっとクロネのいる方向を見ていたことだ。
なんか嫌な予感がしながらも俺は皆から祝福されるのだった。
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