第参拾陸話

私の実家は、平屋の一階建てなのだが、一番奥の部屋はいつもジメジメしていた。

決して日が当たらない訳では無いのだが、何だか子供ながらに嫌な感じがして、あまり近寄らなかった。


家を出て数年。

仕事も一段落したので、久しぶりに実家に帰った。

自分の部屋はそのままにしていてくれたので、懐かしさを感じながら部屋で休む。

すると、夜中に家の奥の方から物音がした。

初めは、両親が何かしているのかと思ったが、両親の寝室は、音とは逆の方向だ。

嫌な気配を感じつつも、確かめずにはいられなかった。

部屋を出て、恐る恐る音の方へ向かう。

その音は、例の一番奥の部屋からしていた。

部屋を覗こうかどうしようか迷っていると、襖がすーっと開いた。

驚いて固まっていると、部屋の中から……

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