第参拾壱話

車通勤している俺にとって、雪国の冬は最悪だ。

いくら除雪して轍がついているとはいえ、怖いことに変わりは無いからだ。


その日の朝も、雪が降っていたのでいつもより三十分早く家を出た。

普段通る道は、細い道が多いので、大通りを通る。

その道には川の上を通る大きな橋があった。

しばらく走っていると、自分の車線から、反対車線へ出たタイヤの跡があった。

事故の形跡もないし、前の車でも抜かしたのかと思っていた。

しかし、どれだけ走っても反対車線へ出た車が、元の車線へ戻った跡が無い。

除雪されてはいるが、轍の真ん中の雪には跡が残るはず。

じゃぁ……あの跡はいったい……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る