第参拾話

仕事が正月休みに入り、実家に帰省した日。夕方から雪が降り始め、夜中には足跡がつくほど積もっていた。

私は、久しぶりの雪を見ようと、玄関から外に出る。

そこには、一面の銀世界が広がっていた。

明日も仕事ならば、通勤の心配でそれどころでは無いが、正月休みに入った私には楽しさしか無かった。

雪を踏みしめようと一歩前に出ると、私の足の前に、足跡があることに気づく。

その足跡は、家の庭へと続いていた。

今日は雪が降り出してから、家族は誰も外に出ていない。

誰か……いる?

私は、リビングのソファで、テレビを付けたまま寝ている父を起こし、一緒に庭に見に行った。

しかし、そこには誰もおらず、足跡だけが残っている。

気持ちは悪いが、戸締りをしっかりしておけば大丈夫だろうと、父はそそくさと家の中に戻っていってしまった。

私は気になりながらも、仕方なく父の後を追う。

何となく後ろを振り返ると、雪に静かに足跡が付いた。

え……?

その足跡は私の方へ向かってくる。

そして……。

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