ケレスの話

架橋 椋香

ケレスの話

ケレスで働いてるいとこによると

あっちじゃ愛なんて大したことないらしい

あたしはこっちの星じゃ

やんぬるかな

だったので、いとこのところに行くことにした

巡航船にのって降りた地で

いとこは割と美しかった

現地の言葉をあたしは

重箱読みしてしまったみたいで

ときどき逮捕された

どきどき囚人ライフも

愛のいらぬ星では

昼ごはんがおいしかった

目玉焼きが出るのだ

夜になると

地球と違う星が見える

たまに降ってくる

赤く光る

鉄塔の頂上に座って

街の夜景を眺めてはじめて

あたしは車が走ってないことに気が付く

街自体が小さいのだ

遠くの街へは地下鉄が走っているらしい

地平線がとても丸い

この星は快適だった

人と人の

ねばつきみたいなものが

いらない

ディストピアと

言う人もいるかもしれない

丈夫だった

街はハニカム構造になっていた

六角形ごとに

自治組織

生き物の巣

みたいで

なぜか落ち着いた

みんなおままごとみたいな気もした

見上げると

知らない星

好きに空を飛べれば

夜空を立体的に捉えられるのかも

しれなかった

この街に

鳩は

いなかった

烏も

いない

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ケレスの話 架橋 椋香 @mukunokinokaori

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