第8人目 きみを向いてしまうから。

演奏を聴いて。

きみの手元を見てしまう。


きみの感情を見てしまうから。

それは、きっと。


ファン。


ぼくは、きみのファンになったが。

そうか、ぼくが求めている『演奏』は、そうではなく。

『演奏』から、何かを見ることだ。


『作品』だって、同じこと。


そんなことを考えた。

よくある『代弁』とか、そーゆうの。

ではなくて。


あくまでも主人公は『作品』の受け取り手であるのが好ましい。

と、ぼくは思ったのだった。


『演奏』であるならば。

場にいる者が、共有する『何か』、それは『演奏者』当人でなくて。

『演奏』が連れていく境地であるのが好ましい。


そう思った、ぼくは。


ぼくのことを考えているにすぎなくて。


皆。


皆が主人公であり、持つイメージや、身体や気持ちのレスポンスを。

大事にできたらいいなと思った。


大勢のファンから期待され、そうして何を『見せる』のか?


それを突き詰めていくと、きみの姿は透明化されるかもしれない。

『そこにいるのにいない』。


これは、ぼくの、ちょっとした理想であるだけで。

変わらず、きみは。

ぼくがファンでいたいと思うような存在なのだと思う。





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