第21話
俺とぼさぼさの髪を直しているリンエインが竜王の間へ辿り着くと、そこには魚の頭をした人々が大勢ひしめき合っていた。
広い間だ。前に俺と東龍が御前試合をした場所で、壁面には冷水や温水が優しく流れ落ち、床には竜宮城は今は春の季節なので、しとしとと桜の花弁が天井から舞っていた。
玉座で皆の会話に静かに聞き耳を立てている乙姫は、竜王の間の奥に居座り深く考え事をしているようだった。
「父さん?!」
「なんだ……リンエか。とうとうボーイフレンドを連れて来たのか? 父さんは嬉しいぞ」
「違うって、父さん……ところでなんで最後の言葉は棒読みなのよ……この人は地球から来た。あの山門 武よ。もう、あの龍族たちを何体もはふっているわ」
「ほお……君が……?」
漢服を着た凛と引き締まった皺の多い男だった。
リンエインをリンエと呼ぶその男が、どうやら父親らしいことがわかったので、俺は居住まいを正して一礼した。
この人が竜宮城で随一の軍師……。
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