第20話

「長老たちとの戦略会議には、私も出席してるから。今度はちゃんとでなさいよ」

 

 そう言い残してリンエインは、仄かに照らす提灯の道をすたすたと家とは反対の方向へと歩いて行った。今は竜宮城は季節は夏。青々とした緑の葉が至る所に舞い落ちていた。けれども、あまり暑くはない。今回は東龍はリンエインにちょっかいをださなかったな。と、なんとなくだが思った。


 俺は薄屋へとトボトボと歩いた。

 後ろから疲れを感じさせない東龍が走って来る。


 薄屋に着くと、ミンリンが俺の顔を見て喜んだ。

 盆に大きな杯を乗せて、俺たちの席に置く。これは甘酒だといって、みんなに振る舞った。


 ほんのりとした甘酒の香りに甘さ。どれも饅頭にはよく合う。

 俺も東龍も南龍もあの激戦での疲れが癒された。


翌朝。

 

 戦略会議に俺は顔をだした。勿論、リンエインの戦略や戦術というのが聞きたかったからだ。


 寝床の秋の間から竜王の間までの道中。

 髪がぼさぼさのリンエインに出会った。どうやら、朝はダメな人なのだろうと俺は思った。存在しないはずの神社が懐かしく思えた。皆、朝早くに修練の間で稽古だったから。


「水淼の山岩龍さんがんりゅうって、名付けたの」

「?」

「あなたが斬った超巨大な龍よ。もっとも、もっと大きな龍が生息しているかも知れないけどね」



 


 

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