第3話
東龍はあっという間に縄梯子を登り切り、乙姫たちと消えた。いや、俺の視界から消えたんだ。
俺は左手に、手紙が握られていることに気が付いた。
開けてみると、高取からの手紙だった。
「武。ありがとう。地球を救ってくれて……ここは竜宮城で、そこでこの手紙を書いたの。……でもね、地球の危機はまだあるの。私の悪い予感だけど……それは一応書かないことにするわね。竜宮城が地球を侵略してきた理由を、乙姫から聞いたんだけど……竜宮城の住まう惑星にこれ以上ない脅威があるの。武……死なないでね。絶対によ……それと、麻生さんは、元気のようよ。そう地姫さんから聞いた。必ず元気に戻って来てね」
俺は麻生の面影を瞬時に思い出した。
「そういうことなら……どうせなら……全部やっつけてやる!」
縄梯子まで急いで泳ぎ、珊瑚の壁面の縄梯子を登っていると、想像したこともない大きな咆哮が聞こえて来た。まるで、月や星が震えだすかのような音量だった。そう……想像を絶する巨大な龍の咆哮だ。
東龍によって、縄梯子から引き上げられると、
「武! こっちだ! 急げ!」
急いで、四季彩る廊下を東龍と走り、幾本もの葉が舞う柱を通り過ぎていくと竜宮城の正門に辿り着いた。
空を見上げてみると、七色の月がそれぞれ三つ宙に浮いていた。
大気は常温くらいだ。
寒くもなく。熱くもない。
目の前には大きな水色の壁があった。心臓のようにドクドクと脈打ち、空を見上げると、雲のような髭のようなものに、虹が渡っていた。
「な!?」
俺は驚いて口を開けた。
超巨大な龍がこちらを遥か天空から覗いていた。
東龍は平然と俺の肩を叩き。
「ようこそ。龍神の住まう惑星へ……」
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