第15話
東龍はというと、竜王の間の影の柱に寄り掛かっていましたが、怪我のためか。ここから見ても珍しく無口でした。ですが、何のことはありません。そこから武に右手でジェスチャーを交え、数分後には城下町の薄屋へと向かっていました。今度は四海竜王の西龍も交えています。途中で相談会を抜けて来たのです。
三つの月夜の提灯がもう数多に掛けられていました。
町民は静かに無事のお祝いにと酒屋を探しています。
夜の竜宮城は今は秋ですね。
少し肌寒いので。
きっと、竜宮城内は秋の木の葉が今は舞い落ちていることでしょう。
春夏秋冬のあるこの町にも、明日は寒い冬が訪れるでしょう。
薄屋のミンリンはまた武の隣に座っていました。
ここから見ても、ミンリンは武を好いていますね。東龍はミンリンに今日も近づけたと無邪気に喜んでいました。せっせとミンリンに手を出しています。
西龍も武も行儀よく。お茶と団子を注文しているところでした。はて? 何やら感じ慣れた威圧感を覚えます。ふと、薄屋の出入り口を見ると、鬼姫です。
もう、影武者はここと地球の海域に同時に渦潮を発生させたようですね。
「武様! ここでしたか!」
「誰? この可愛い人……?」
「鬼姫さん!」
「え? この人が……?」
ミンリンはまじまじと鬼姫を見てから、すぐさま震え上がりました。それだけ鬼姫の気は物凄いのです。これには貴重な戦力に東龍も西龍も大喜びです。
どうやら、鬼姫だけが安全のためにここ水の惑星へと来たようですね。
「な……何にしますか?」
ミンリンは武の傍を離れ、注文を受けようとしましたが、鬼姫は武の手を取り、店の外へと出ました。
「多くの龍の気が感じられます。今夜は油断なきよう」
鬼姫の気迫に武はブルッと武者震いをしましたが、同時に鬼姫に会ったことに喜んでいるようですね。
「まだ、龍が来る……」
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