ラクボ山にてクラスメイトを山賊から救い出せ!
第46話
ラクボ山のふもとへと到着した俺たちは、枯れ葉を踏みながら山の中へと入る。
カルナが先頭となり、その次にムセン、ポール、俺、花蓮、シエン、アリサの順で進む。
太陽の光が木々の中から漏れており、清涼な空気と甘い香りが鼻を抜ける。
「見えたわ……まずはここが一合目といったところかしらね」カルナが居心地の良い森にいるせいか上機嫌にそう言う。
緑色の地面が広がり、ところどころ樹木が生えている。
なぜか、俺は胸騒ぎがする。
花蓮以外の全員も何かの気配を察知する。
この甘ったるい匂いは……どこかで嗅いだことのある気がする。
「なんなの……急にみんな顔つきが変わって……」と花蓮が動揺する。
「しっしずかに」アリサが花蓮に注意する。
全員が静かに武器を構える。
俺の目の前に小さなミツバチが飛ぶ。
俺はとっさにそれを手で振り払う……そうかこの甘い匂いは蜂蜜か。
そして小さなミツバチがどこかへいって俺がほっとしたのも束の間、全員を何かの影が覆いつくす。
「上を見ろ!」ムセンが叫びカルナが上を見てすぐに弓を放つ。
「BOOOOOOOOOOOOOOON!」
俺の五倍くらいの大きさのスズメバチが姿を現す。
「いきなりボス戦かよ……」俺は武器を構える。
※ ※ ※
弓を避けた巨大オオスズメバチ、図鑑に書かれた正式名称は「キングキラービー」
その魔物の羽音は耳鳴りをおこすほどうるさく、奴が起こす風で俺たちは吹き飛ばされそうになる。
「リョウキ!」
上空高く奴が飛ぶのを見て花蓮が叫ぶ。
俺は頷いて、落ち着いて情報を話す。
「奴の弱点は水と氷だ!、弓は当たらないが一撃でも水魔法か氷魔法を命中させれば奴は身動きが取れなくなる!そこを全員でたたけ!アリサは氷魔法でボスを、ポールとムセン、カルナはじきにやってくるデカい蜂、、奴の子分をひたすら倒せ!シエンは解毒魔法と回復魔法の準備をしろ……花蓮もサポート魔法のアクセルを全員にかけ続けろ!」
「「「了解!」」」俺以外の全員が叫ぶ。
「GIGIGIGIGIGI!」
キングキラービーが虫独特の不快な音を鳴らす。
仲間のキラービーと呼ばれる人間の子供くらいのサイズの蜂が俺たちの周囲を飛ぶ。
上空から見れば俺、ムセン、ポール、カルナが正方形に広がり、その正方形の中にシエンと花蓮、アリサが配置される形で編成を組む。
————それから、キングキラービーは上空から様子を伺い、子分のキラービーとの戦いが続いた。
俺はキラービーを叩き潰す。
数が大量だから大体攻撃は当たる。
紫色の体液を吹きだして、キラービーは地面に落ち、灰になって消滅する。
息つく間もなく次のキラービーが襲い掛かる。
あらかたキラービーを倒して、俺は肩で息をして、ムセン、カルナ、ポールも額から汗をかいている。
キラービーが撤退する。
シエンと花蓮が互いを背中で支えあうようにその場にへたり込む。
アリサだけが魔法陣を手元から発生させながらぶつぶつと呪文を詠唱している。
「ホーミング」という単語を俺はアリサの詠唱から聞き取る。
つまり今アリサが放とうとしているのは対象に命中するまで追尾する氷魔法である。
B+ランクの冒険者でそんな魔法を使うのかよと俺は感心したのも束の間、キングキラービーが低空飛行して巨大な針を突き刺そうとする。
花蓮とシエンにキラービーが迫る。
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