第44話

 手続きとして俺が花蓮とポール、アリサ、ムセン、シエンの5人にクラスメイトの救出を頼む形になる。

 

 かなりの出費になったが気にしたところで後の祭りだ。

 

 酒場で俺は数分待つ。


 「おう、しっかり休めたか、リョウキ!」ムセンが酒場にやってきて、出会った途端に俺に嬉しそうな笑みで俺に話しかける。

 

 「まったく、ムセンは気にいった人にはいつもあんな感じなのよね……」とカルナは笑う。


 「でも、ムセンがあそこまで人間族に仲良さそうにしているの、久々に見たわ」とアリサは言う。


 「そうですね、でもリョウキさんはあぁ見えて結構ガッツというか、度胸がありますよね」とシエンはそういって俺と目が合うと視線を逸らす。


 心なしかシエンの耳が赤い気がする。


 「まぁね……今回僕たちを雇えるくらいお金も持っているし……下手したら冒険者になったら僕らなんかすぐにぬかされそうだ」とポールは言う。


 俺は俺よりも頭一つ分大きなムセンに事情を話した。


 「…………あいつ、いつの間にあんなに異世界の人と仲良くなったんだ……」と花蓮は驚いていた。


 「君が案内役のDランク冒険者……名前は、花蓮さんであっているかな?」


 「は……ひゃい!かれんでいいでしゅ!」

 

 イケメンのポールに話しかけられて花蓮は顔を真っ赤にする。


 「おうよ、リョウキのダチを助けに行くんだ、気張って行けよ、お前ら」とムセンは言い放つ。


 「当然よ」とカルナはいって、アリサとシエンも微笑みながら頷く。

 

 「場所は……ラクボざんのどこかか……」とポールは依頼書を確認する。


 「俺の鼻とリョウキの頭脳があればすぐわかるぜ……な?」


 爽やかな笑みをうかべてこちらを振り向くムセンに俺は少し照れながら頷くのだった。


 

 

 

 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る