第42話
花蓮が語った内容は俺以外にこの異世界に転移したクラスメイトの現実だった。
まぁ大体想像の範囲内だった。
ろくでもない想像だからあまり考えないようにしていたが。
国王からいろんなものをもらった担任教師と同級生は、先生がリーダーとなり全員がFランク冒険者登録をして、冒険をコツコツやっていくことができていた。
順調に仕事をこなしてランクも大人数だったため戦果を挙げやすく、俺が花蓮に異世界で最初に出会った後からわずかな期間でCマイナスランクまで上昇したという。
彼女いわく、各々が魔法やスキルを会得していたため魔物を狩ることができたらしい。
まぁそれくらいは書類仕事の中でちらほらと見かけていたから知っている。
「だから……ここ数日で魔物がおとなしくなっているのか」俺は一人納得する。
問題はそれ以降の彼らの行動に会った。
「冒険者になるとお金がものすごくかかるし、もっと稼げて安全な仕事を紹介しろと先生が役所の職員と話をしたの。最初は穏便だったけど先生はなかなか動かない役人に腹を立て、しだいにもめて、現地人とトラブルになって……それで先生と私含めてクラスメイトはDランクに降格されちゃった……」と秀吉はいった。
俺は担任の人物像を思い出す。
頑固で頻繁にいやみをいう奴だった、おまけに短気。
「冒険者の裏方の職員は募集していたはずだが?」
「そんな地味な仕事はいやだって生徒たちが言うし、先生も魔物退治が国王から言い渡された我々の義務だって……」
俺はそれを聞いて、ため息を吐く。
「……それでそのあと、お前らはどうした?」
「一応、学校の役員の中で偉い順に……つまり私がリーダーになってコツコツと仕事を頑張っていたんだけど……」
「けど?」
「山賊の集団に……襲われたの」
「魔物がいなくなればその分山賊などの悪党が出没するな……それで?」
「……なんとか私だけ隠れて生き延びることができたの」
「そうか……」
「もうやだよ、私、これから一体どうすればいいの…………もういっそ日本に帰りたい……」そういって再び彼女は泣くのだった。
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