第39話
シエスタと一緒にいろんな屋台の料理を食べた。
海の幸、山の幸を堪能した。
今日は偶然にも祭りをやっていた。
人込みの中でシエスタを見失わないように気を付けながら、シエスタが射的をやって俺にこの世界では貴重なお菓子をくれたりした。
魔法使いやピエロが魔法を使い色鮮やかなパフォーマンスをする。
それ以上に無邪気に笑うシエスタに見とれていた。
魔法の淡い光が彼女の横顔をまるでスポットライトのように魅力的に映し出す。
彼女は俺の視線に気づくとくすぐったそうに笑った。
※ ※ ※
おなかいっぱいたべて、体がくたくたになるまではしゃいだ。
いろんなところを歩いた。
いろんな種族と世間話をした。
※ ※ ※
夜。
高級そうな酒場に入る。
可愛らしい羽の生えた小さな妖精とエルフが出迎えたその店はいろんなお酒が並んでいた。
その酒場でいろんなノンアルコールのカクテルを飲んだ。
その店は高級店だったが、思い出はそれ以上に価値がある。
ハープの音楽を聴きながら、チェスなどのボードゲームをシエスタと行う。
チェスの駒を置く音と上質な演奏だけが響く空間。
贅沢な時間だった。
その酒場の閉店まで楽しんだ後、俺は宿屋に帰る。
「……今日はありがと、楽しかったわ」
シエスタがそういう。
俺も同じようなことを彼女に言った。。
「たまにはこういうのも悪くないかもね……あんたといるのは変に気を使わなくていいし楽でいいわ」
「そりゃどうも……シエスタ」
「なぁに?」
俺は優しく微笑む彼女を見つめる。
もっと話がしたい。
できるならもっと彼女と一緒にいたい。
現代の学校で感じた孤独とは違う、いいようのない淋しさを感じた。
うまく言葉にできずに俺は黙ってしまう。
「……みなまでいわないで。私ももっと遊びたいけど、もう夜遅いから」
「あぁ……」と俺は頷く。
「じゃあね、リョウキ」
—————また明日ね。
そういって彼女は大人の笑みを浮かべるのだった。
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