第38話
シエスタはポールたちB+ランク冒険者に一礼して俺の目の前に立つ。
美人が至近距離だとなんかドキドキする。
だがそれ以上に眠い。
「大丈夫、リョウキ?」
「肩を貸してくれ」
「わかったわ」
シエスタに宿屋を予約してもらって部屋まで肩を貸してもらう。
布団が気持ちよすぎる。
一つしかないベッドの上に座るシエスタ。
彼女は器用にベッドに横になった俺に毛布をかける。
そして聖母のように優しく笑いかける。
「おやすみなさい……お疲れ様」
俺はその声を最後に瞼を閉じる。
※ ※ ※
小鳥のさえずりが聞こえる。
窓から朝日から差し込み、俺が起き上がると人の気配がした。
視線をやると、椅子に座ったシエスタがすやすやと眠っていた。
朝日に照らされた長い金髪が美しく、寝顔はまるで精巧な人形のようだった。
「おはよう、シエスタ」
彼女は目をこすりながら起きて「おはよう……いっけない、あんまりにも気持ちいいもんだから私も寝ちゃったわ」と言う。
「腹減ったな」
「あなた、丸二日も寝ていたのよ」
「そうなのか」
「えぇ。朝ごはんは私のとった薬草がたっぷり入ったおかゆよ」
俺の腹がぐぅっと鳴る。
くすっと彼女は笑って、椅子から立ち上がる。
「行きましょうか、いろいろと聞きたいこともあるしね」
俺は彼女と一緒におかゆを食べる。
彼女からは特殊な薬草について聴いたり、俺は話せる範囲で迷宮探索と事後処理の職務内容について話した。
彼女の鈴のような笑い声と上品な笑い方が俺に癒しを与えてくれた。
おかゆをたらふく食べた後、シエスタは言う。
「さぁて、午後は遊ぶわよ!お互い、いろいろあったしね。パァッと遊びましょう。パァッと!」
俺が返事すると、彼女は俺の手首をつかんで先を歩くのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。