第31話
「魔法陣は消滅しているから当然自然発生ではない。アイシャ殿から聴いたところによると二十人以上の死者はこの第五層では確認されていない。つまりBランク級の冒険者の死体、それもかなりの数をグールとして再利用していた可能性が高い。そんな大規模なことができるのは、ここより下の階層の高度な知能を持つ上級悪魔か、もしくは高いレベルの冒険者が第六層の悪魔たちと協力して蘇生魔法を使い、第五層へ送り込んだというシナリオがいえる」
「でもそれはただの推論よ、証拠がないわ」
「証拠なら戦いの最中でグールがつたないが言葉を話した、君たちは自己防衛に必死だから聞き逃していているかもしれないが」
「それはどんな……?」シエンが問う。
「主様という単語だ。それと一週間前に国家錬金術師の一人が国に違法魔法を使った容疑で逮捕されたが脱走したという報告も入っている。証拠としてあげるなら第六層への入り口にその国家錬金術師特有のオレンジ色の髪が数本確認されている」
「そんな報告聞いてないわよ」カルナが言う。
「それは国家機密扱いだ、市民の不安を招きかねない。くれぐれも国家錬金術師が脱走したことは口外しないように。これは命令だ」
俺たちは同時に頷く。
「今日はしっかりと休むことだ、私は他の担当地区へと向かう」
「残りの……第六層と第七層の調査は?」ポールが問う。
「別に私一人で十分だ……といいたいが、少々不安だ。十分な休息ののちに私の後を追ってくれ」
俺たちはそれを聞いた後、テントを張って爆睡した。
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