第30話

 マレットの無駄のない華麗な剣技に圧倒されるも俺はポールとムセン、そしてナイフを両手に装備したカルナに護衛され、杖をアリサとシエンが俺の後方で構える。


 よくよく考えたら俺、ここにいる必要ない気がする。


 でも事後処理の書類を書くためにしっかりと戦場を目に焼き付けなければいけない。

 

 まったく地味で嫌な仕事だよ。


 溜息をつく間もなく戦闘が長時間にわたって繰り広げられる。


 ———どれほどの時間がたっただろうか。


 やっとのことでグールがマレットによって一掃される。


 ポールとムセンが最後の一体を倒した後、片膝をつく。


 シエンとアリサとカルナも肩で息をして、俺もポーションを仲間に振りかけたり、本体が消滅して邪魔になった装備を移動させたりする雑務をやっていたせいで汗だくだ。

 

 「この区域は制圧した。肝心な遺体の大量遺棄の犯人だが……」


 俺たちは息を整えるのが精いっぱいだが、汗一つかいていないマレットが近づいてきて淡々と話す。


 マレットは第六層の入り口がある方角に視線を促しながらゆっくりと話した。

 

 「下の階層でなにやら不穏な動きをしている可能性が高い」


 「どうしてそう言える?」


 ムセンが疲れでかすれそうな声で疑問を口にする。


 彼女は続きを話し始める。

 


 

  

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る