第27話
「なるほど、事情は分かりました。遺体の冒険者が違法に遺棄されているかもしれないと?」
ポールが最後に付け加えた話をする。
アイシャさんは考え込む。
「それは確かですか?」
ポールは応える。
「はい、そうでも考えない限り大量の冒険者が一斉にグールとなるのはおかしいです」
「確かに……最新の報告では魔法陣は消滅していたはずです。大量のグール、しかも装備の質を見たところB+以上だということですか……数は」
その質問にはムセンが答える。
「およそ二十、すまん、霧が濃くなってはっきりとした数はわからない」
「……霧、そうですか。もしかしたら冒険者の遺棄はかなり計画的に行われた犯行と言えるかもしれません。数が数です、いくらB+とはいえども難しいでしょう」
「じゃあ、もっと人手を……」シエンはそういう。
アイシャさんがその要望に首を振る。
「それには応じられません、人員を割いては業務が効率的でなくなるしこちら側の被害が甚大になる可能性があります」
ムセンが怒鳴ろうとするのをポールが止める。
「仕方がありません、Sランク級の冒険者を一人国から派遣してもらいましょう。明日にも来るはずですから、それまであなた方はここでテントを張って休んでください……あぁそれと、アサイさんは書類をこちらに」
俺はカバンごと彼女に渡す。
「確かに……討伐した魔物の報酬は後日酒場で受け取ってください。それでは」
※ ※ ※
ポールとムセンがテントを張る。
他の作業員が迷宮内で作業中のため女性陣と一緒に眠る。
いろんなことがありすぎて処理が追い付かない。
S級冒険者ってどんな人なんだろう。
すごい人なんだろうな。
俺はあっという間に眠りに落ちた。
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