第10話
「ふむふむ」
そういって真剣に本を読む彼女が近い。
彼女の金髪からバラのような甘い香りがする。
もちもちの肌にシャープな顔のラインが近くでみるとはっきり分かる。
「ねぇ……ねぇってば」
「お、おう」
「ワームの生態は十分に理解したわ。弱点は思った通り火だった。面倒な粘膜も塩をかければ取れることがわかった、ありがと……これ追加のチップ」
「えっこんなに?」
「貴重な本を読ませてもらったお礼よ。安心して、あなたがその図鑑を持っていることは秘密にしてあげる」
「わかった、忠告感謝する……えっと……」
「シエスタよ」
「俺はリョウキだ」
「ふぅん、覚えておくわ……またね、リョウキ」
そういって彼女は優雅に歩いて宿屋を後にする。
「えっこのまま俺、放置?」
※ ※ ※
彼女はその後、ワームを狩りまくって冒険者ランクが一つ上がったらしい。
俺は休日で前と同じ肉屋の店で骨付き肉を頬張る。
今度はちゃんとカバンを背負っているし財布にもスリ対策の魔法がかけてある。
「またあったわね」
「機嫌よさそうだな、シエスタ」
「まぁね……あんたもしよければ私専属の情報屋にならない?」
「情報屋?」
「えぇそうよ、情報を売るの。役所で申請すればいけるはずよ」
「ふむ、いいかもな……でもなんで俺にそんな提案を?」
「単にその方が私にとって便利だからよ」
「そうか……情報屋か、考えておくよ」
「いい情報を安く売りなさいよね!」
そういってシエスタはワイルドに肉をたべて、無邪気な少女のように笑うのだった。
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