第6話
人が並んでいる。
その先を見ると、窓口でなにやら書類手続きをしていた。
ここが役所だろう。
窓口には綺麗な女性がいた。
後ろに一つにまとめられた赤髪でスタイルがよく、柑橘系のいい香りがした。
「こんにちは」と優しい大人っぽい声で挨拶をされる。
「こ、こんにちは」俺はどぎまぎしながら、挨拶を返す。
「こちらの世界に召喚された人ですね」
「どうしてそれを?」
「異世界人召喚については、既にこちらに報告されていますので……それで、本日はどのようなご用件でしょうか?」
「冒険者以外の仕事はありますか?」
「……てっきり人気の冒険者になるのかと思いましたが」
「僕、剣なんか持ったことないし。魔物は怖いので」
「……少々お待ちください」
そういって彼女は、何もない手元の空間から出てきた羊皮紙を慣れた動作で手に取る。
「えっと、アサイ・リョウキさんですね……歳は18歳で学業面の成績は優秀で性格は温厚で冷静……なるほど」
俺はくすぐったくなる気持ちでそれを聞いた。
「具体的にどの位の能力なのかこの国王からの調書でもわかりませんね」
今日異世界に来たばかりだから評価なんてそんなもんだろう。
「……そうですね、読み書きができて税金、法律関連の知識があるので、簡単な事務仕事なら引き受けられます」
「学業に熱心な世界から来たんですね」
「えぇ、まぁ」
「そうですか……ふむ。それなら、こちらはどうでしょうか」
そういって彼女から渡されたのはギルドの事務仕事。
あとは誰にでもできる溝さらい、薬草探しなどの3K(きつい、くさい、危険)の仕事の仕事ばかりだった。
俺はギルドの事務仕事を選択し、必要事項を記入した羊皮紙をもらう。
俺は事務仕事の職場、ギルドへと向かった。
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