第3話 ともだち

 昨日の失敗をしないように、今朝は、改札の前で駅員さんに声をかけた。

「おはようございます!」

「あー、昨日の佐倉さんだね!はい、おはよう!今日は一緒にホームに行きましょうね」

「はい、よろしくお願いします!」

 朝のホームは、今日も人でいっぱいだ。

 駅員さんに誘導されて乗車口に並ぶと、昨日私を助けてくれたお兄さんが、私を見つけて手を振ってきた。

 今日は違う模様のアロハシャツだ。サングラスもしてる。

「よう、昨日は災難だったな!」

「昨日はありがとうございました。お礼も言えず、すみませんでした」

「いいってことよ!ここ、危ないからな。なんかあったら遠慮せず、声かけろよ!」

「はい、ありがとうございます!毎日アロハシャツを見つけます!」

 周囲の人が笑い出した。私、なんか変なこと、言ったかな?

「乗る時は俺が車椅子を押してやるよ。降りる時も誰かやってくれるよな?」

「あ、でもこの車椅子、電動なので押してもらわなくても大丈夫です。道を開けてくれるとありがたいのですが・・」

「おう、そうなってるのか・・。便利なもんだな」

「はい、でもお気持ちは大変うれしいです。ありがとうございます」

 私がお兄さんにお礼を言うと、駅員さんが続けて周囲の人にお願いをした。

「お客様がこうやってお手伝いしていただけることに、当社としてもとても感謝しております。ぜひとも皆様方のご協力をいただければと思います」

 それに応じて、いつでも手伝うよ、と声をかけてくれたり、降りる時は言ってくれ、と頷いたりする人も出てきた。

 みんな、それまでこっちを見ても何も動かなかった人たちが、あっさりと接し方を変えてくれる。要はきっかけがあればいいんだな。

 私は何も変わっていないのに、周りが変わっていく。いや、私も変わったのかな。


 隣の乗車口に七津を見つけた。

「七津、おはよう!」

 七津がこちらを振り向くと、朝日に髪が反射してキラキラと光っている。

 うわー、この子、本当に綺麗。

「あ、おはよう二柚。電車同じなのね」

「うん、中学が違ったから、意外ね」

「私、途中から転校してきたから」

「海外から来たって言ってたもんね。いろいろ大変だったんでしょう?」

「どうかな、似たようなものだけど。日本の方が大変かも」

「そんなもんかもね」

 それは少し理解できる。もちろん外国に住んだことはないけれど。

「放課後、楽しみね」

「そうね、4人もいるとは思わなかったから、ちょっとワクワクするわね」

 電車が来た。今日は周囲の人が道を開けてくれて、スムースに乗ることができた。うん、なかなか悪くない。甘えすぎてはだめなのだろうけど、今は感謝したい。

 今度、別の機会に何か恩返しできたらいいな。

「昨日、私ここで電車とホームの間にタイヤが挟まっちゃって、大変だったのよ」

「あら、昨日の騒ぎは二柚だったの?私が駅に着いたら少し騒ぎになっていたわ」

「てへへ、みんなに迷惑をかけちゃって、一人で無理するなと言われちゃった」

 そうやって話していると、昨日の場面に居合わせた人が何人かいて、みんな笑って頷いてくれる。

「ずいぶん慌てていたのね」

 七津が優雅に笑う。一瞬、ドキッとした。

 しかし、先ほどから七津に対する周囲の視線がすごい。最初は驚きの表情で、だんだんとうっとりする表情になってくる。その感情のグラデーションがよくわかる。

「ねえ七津、さっきからあなたに対する視線がギンギン来るのだけれど、わかってる?」

「え、なんのこと?」

「みんな七津を見てるよ」

「わ、わたし、スカート穿き忘れてる⁈」

そんなバカな。

「もしそうだったら多くの乗客が倒れて、電車が緊急停車してるわよ」

「この間コンビニに行こうと思って、玄関で穿いていないことに気が付いたのよ。あぶなかったわ」

「それはそれでちょっと見てみたいけれど、スカートは大丈夫よ」

 混んでいるから会話が漏れるようで、周囲の人がくすくす笑っている。

「そうじゃなくて、皆さん七津に見惚れているの」

「えっ」

 周囲の人が一斉にあっちを向いた。

「美人すぎるのも罪よねえ」

「そんなこと、だってこんな有り様だし」

「それは関係ないんじゃない?こんな美人が車椅子に乗ってるから可愛くないなんて、ありえないわよ。美人は何をしたって、何を着ていたって美人なのよ」

 そうこうしているうちに学校前の駅に着いた。

「じゃあ、放課後ね」

「どこに集まるの?」

「うーん、とりあえず生徒玄関でいいんじゃないかな」

「はーい、ではまたね」


 教室に入ると愛来がいた。クラスの子に囲まれて、もう話をしている。

「おはよう、愛来」

「あ、おはよう、二柚」

「二柚ちゃん、おはよう」

「二柚も車椅子なんだね」

「大変そうだね、えらいね」

 ほら来た。私は大変でもないし、えらくもない。最初からこうだっただけで、私にとっては当たり前。 

 みんなだって、わー二本の足で歩いてる、えらいねーって言われたらどう思うのかな。

 悪意がないのはわかっているけど、これどうにかなりませんか。いや、むしろ善意で言ってくれるから、反論のしようがない。それがかえって堪える。

「ううん、全然なんともないよ、慣れてるから」

 あー、ダメだ。どうして私は人の気持ちをこんなふうに悪く取ってしまうのだろう。素直にありがとうと受け止められればいいのに。どこまでひねくれているんだろう。本当に自分が嫌になる。

 このままだと悪の電波を出しそうな私に、愛来が助け舟を出した。

「道が空いていればスピードも出せるから、案外気持ちいいのよ」

 私に比べて、愛来は自己制御ができている。

「そうなんだ、二人乗りってできないの?」

 クラスの子が質問してきた。日焼け顔でちょっと乱暴そうに見えるけど、中学で野球をやっているって自己紹介で言ってたような。名前、忘れちゃった。

 でも、二人乗りはしたことがないなあ。やったら気持ちいいかも。同じ高さの目線になるし。

「できたら楽しそうよね」

 別の子がつぶやいた。この子は先生から仮のクラス委員を頼まれていた。頭も良さそうだ。

「2台でツーリングはできるけど」

「それじゃあ持っていない私たちが一緒に乗れないじゃない。後ろで、立ち乗りでいいから乗せてよ」

 そうか、一緒に乗ってみたいのか。そう思ってくれるんだ。今度乗せてみようかな。

「はいはい、ホームルーム始めるから席に着きなさい」

 小雪先生の声がした。あわててみんな席に戻った。


 放課後になった。午前中はオリエンテーションと小テストだった。

 校内はエレベーターがあるので移動にはそれほど困らない。トイレも広さがあってよく整備されている。

 いくつかの高校のトイレを見たけど、何で高校のトイレって清潔感がないのだろう。あれじゃあ、お年頃の女子は通いたいと思えない。

 制服が可愛くても、トイレが清潔じゃないのはどうかなー。大人に気づいて欲しいポイントなのにな。

 愛来と二人でエレベーター前に行くと、既に一台車椅子が止まっていた。春陽だ。

「こんにちは、よろしくね!」

 春陽の方から声をかけてきた。

「こんにちは、春陽!」

 昨日あまり話せなかったから、どんな子かな。明るそうな笑顔をしているけど。名前の通り春の陽射しみたいな子?。

 でもこれで4つの季節が揃ったわけだ。

「あなたが二柚さんね」

「はい!そうだけど、え、なんで敬語?」

「あー、なんか不機嫌そうな顔をしているから、怒らせると怖い方の人かなって」

 いや、怒ってないけど。

 でも、そうか。私、自信ないから、怒ってるように見えるんだ。気をつけなきゃ。

「いやいや、そんなことあるわけないでしょうよ。二柚、でいいわよ」

「わかったわ、冗談よ。二柚は中学どこだったの?」

「二中だよ。春陽は?」

「私は西中」

 などと話していると七津がやって来た。これで4人揃ったので出発することにした。放っておくとずっとここで話してしまいそうだ。もともと椅子に座っているから疲れないけど。

「じゃあ行きましょう!」

 愛来の掛け声で玄関を出た。電動車椅子が4台並んで道を進む光景は、今まで経験がない。

 でも、きっとこれが私たちの日常になるんだろうな。いや、そうなるようにしたいな。

「さ、行こ」


 賑やかな女子高生の集団が駅前の道を進んで行く。

 どこにでもある光景だけど、ちょっと違うのは全員電動車椅子に乗っている事だ。

「着いたよー」

 この町では一番大きなワックだ。入り口が広い。

「何にするの?買う方と分かれて席取りに行く?」

「そうね、入れるところを見つけないと」

「じゃあ私、席の方探すね」

 愛来と春陽がレジに向かい、私が席を探しにいこうとすると、七津が後ろをついてきた。椅子が固定されているところには入れないから、広めの席を探す。

 そうしていると、大きなゴミ袋を3つ持った店員さんがこっちに向かってくる。ゴミ袋で視界が狭くなっているのか、そのままずんずん進んでくる。

 通路が狭くてこちらも逃げ場所がない。

 一瞬、テーブルの間に隙間を見つけた。とっさの操作でそこに車椅子を動かした。よし、これなら。

「きゃあ」

 黄色い声が聞こえた。自分には出せない種類の声だ。

 あ、そうだ、後ろに七津がいたんだ。忘れてた。

「うわあ、すみません、すみません」

 ゴミ袋が声を出した。

「お客様、大変申し訳ありません。私の不注意でした。おケガはありませんか?」

「うん・・大丈夫、です」

 七津がおびえた表情で、か細く答える。目の前から突然私の姿が消えて、代わりにゴミ袋が迫ってきたのだ。そりゃあ驚くだろう。

「もう!ちょっと、気をつけてください!こんなに目立つ格好しているのに見えないわけないでしょう!」

 私がゴミ袋を持っていた店員を睨んで話す。七津も落ち着いたようだ。

「本当にごめんなさい、服も汚れませんでしたか?汚れていたらクリーニングに出させていただきます」

「私は、大丈夫、みたい。何でもないから気にしないでください」

「大変申し訳ありませんでした。お席をお探しですか?ご案内いたしましょうか?」

 改めて店員の顔を見ると、恐縮している。でも優しそうな顔だ。わざとやった訳ではないだろうから、この辺で許してやるか。

「ありがとうございます。同じような車椅子が4台いるのだけれど」

「あー、4台ですか。うん、大丈夫ですよ。窓際の景色のいいところでご用意いたしますね」

 あれ、あんまり驚かないな?4台もいれば、迷惑そうな反応を想像していたけれど。

 こちらに、と言うので店員の後をついて行った。七津もその後ろに付いてきた。

 ほんのり顔が赤い。顔に当たったのかな。

「こちらでどうでしょうか?近くに入りやすいお手洗いもありますので」

 若い男性にトイレの心配をされるのは恥ずかしいが、普段こういう細かいところにあまり気を使ってくれない場合が多いので、ありがたいと言えばありがたい。乙女としては複雑ではあるが。

 それに、結構イケメンだし。

「ご注文をここでお伺いしましょうか?」

「今、友達がもう向こうで注文していると思うので、大丈夫です。それなら、おわびに今度何かおごってください」

「二柚、それは悪いわ」

「向こうがそうしたいって言ってくれてるんだから」

「いやそんな事言ってないわよ」

「きっとこれから言うわ」

 店員が少し困った笑い顔をした。

「わかりました、今度おわびをさせていただきます。僕は石川透と言います。その制服は河原町高校ですね?」

 うわ、女子の制服で高校名がわかるのか。こんな顔して制服オタクなのか。

「僕は大学でリハビリテーションを学んでいるので、車椅子とか少し知っているんですよ。作業療法という学科です。それに僕も河原町高校の卒業生ですし」


 へえ。

 作業療法は、病院で小さい頃よく受けていた。受けていたというよりは一緒に遊んで、たくさん話をしてくれた、お姉さんみたいな先生だった。

 その時の光景が頭に浮かんできた。

「作業療法なら私、受けてました」

「そうなんですね、それはうれしいな、知っていてくれて」

 そう悪い人ではなさそうだ。

「私は佐倉二柚といいます。こっちの逃げ遅れた方は茅野七津です」

「だって、二柚が突然目の前からいなくなって、気がついたらゴミ袋が目の前に」

「本当にごめんなさい」

「いいえ、大丈夫です。私は茅野七津。私も作業療法士の先生にはとてもお世話になりました。ありがとうございました」

「いや僕はまだ学生で、みなさんを担当した訳ではないし、お礼など。でも作業療法のことを知っていてくれる人に会えたのはうれしいです。みんなに知らないって言われるんですよ」

 ちょっとうれしそうな顔をしている。

 そうした話をしているところで、買い物を終えた愛来と春陽が、店内をうろうろしているのが見えた。

「愛来、春陽、こっちこっち!」

 声に反応して二人がこっちを向いた。

「あー、そんな奥にいたんだ」

「ゴメンゴメン、車椅子が4台入るところを案内してもらったの」

 二人が店員を見て会釈をする。

「いらっしゃいませ、ごゆっくりどうぞ。では僕はこれで失礼します。何かお困りのことがあれば、お声をおかけください」

「ありがとう、遠慮しないからお願いしますね、先輩!」

「ずいぶん親しげな店員さんね。先輩?もう声をかけられたの?」

 愛来がニヤニヤしながら聞いてくる。

「いや、七津がゴミ袋に襲われたの」

「だからあれは二柚が突然消えたから」

 七津の顔の赤みはまだ消えていない。そんなに強くぶつけたの?

「ねえねえ、高校に入って、かっこいい男子見つけた?」

 席について、春陽が女子高生らしい話題を振ってきた。

「まだ2日目よ。それに見たところあんまりパッとしなかったわね」

「愛来と二柚のクラスはどう?」

「うーん、どうだろう」

 みんなよく見てるなあ。

「七津は彼氏いるの?」

 そこは大事なところだ。今後多くの男子から声をかけられるだろう。仲介を頼まれる立場としては知っておきたい。もちろん頼まれても仲介なんてしてあげないけど。

「当然いないわよ」

「当然、って?」

「この状態で付き合う勇気のある男子がいるもんですか。どこに行ったって面倒だらけでしょ」

 この状態で、かあー。

「声はかけられるでしょう?」

「声をかけてその場で終わりよ。その先に深く立ち入るには厄介だものね」

 七津でそうなら、私はどうなるんだろう?

「ふーん、そうなんだ。春陽は?」

「そんなの、いませんよ」

「愛来は?」

「私?うーん私の目に叶ういい男は、今のところ出会っていませんなあ」

「愛来はどんな人がいいの?」

「そうねえ、芯が通っていて、私を好きにさせてくれて、でも最後は守ってくれる人」

「それは相手が大変だわ。愛来を好きにさせたら、何するかわからないもの」

「そんなことないわよ、私は自由気ままにやりたいだけ。それをわかってくれないなら、別に相手なんかいらないよ」

 うーん。愛来は強いなあ。私は、どうなんだろう。私を受け入れてくれる人なんか、どこかにいるのかな?いないよね。

「二柚はどうなの?」

「私は一人が好きかな。人といると緊張するし、なかなかうまく話せないし。仲のいい友達はもちろん必要だけれど、そんなに多くの友達はいらないし。2、3人で長く友達やっていければそれで十分」

「ほー、大人だー」

 愛来が合いの手を入れる。

「でも確かに、今までもそんなに多くの友達がいたことはなかったな」

「周りを見てても、なんか窮屈そうなグループ、たくさんあったわね。ルールが厳しかったり、いつも一緒にいないとハブられたりしてたもの。あれなら友達いらないと思ったもの」

「私はそれにさえにも入れなかったけどね、ははは」

 春陽が笑って言うけど、みんな同じようなものかな。

 私は特別だって見られていたから、別扱いだったし。

「私は、自分のことを理解してくれる人は欲しいかな。それは性別関係なくね」

 七津が、意外なことを言った。

 そうか、別に彼氏でなくてもいいのか。その気持ちはなんとなくわかるような。えー、でもそれって、彼女?

 ドキドキしていたら、愛来が七津に聞いた。

「彼氏は欲しくないの?」

「誰かと特別な関係になりたいという気持ちはきっとあるわ。まだはっきりしないけど」

 まだ顔が色づいている。ただ綺麗なだけじゃなく、艶っぽいというか。

「さっきのイケメンの店員さんなんかは?さっき何があったの?先輩って言ってたけど」

 愛来の狙いはここか。

「あー、私も聞きたーい!」

 春陽も乗っかってきた。

「二柚と席を探していたら、ゴミ袋がぶつかってきただけ」

 うーん、間違っていないけどそれだけではわからんだろう。ゴミ袋が勝手に宙を飛んできたことになるぞ。

「さっきの店員さんがゴミ袋を持って歩いてきて、それで前が見えなくなって、七津にぶつかったの。私は逃げたけど。そのあとこの席に案内してもらったってわけ。うちの高校の先輩ですって」

「透さんが悪いわけじゃないわ。二柚が急によけたから」

「透さん?!」

 あ、二人でハモった。

「なんで名前知ってるの?知り合いなの?」

「いやさっき教えてくれたから・・」

「ふーん、二柚も聞いたの?」

「うん、名前はね」

 でも七津が男の人を下の名前で呼ぶのって・・。

「あとは、それ以外は何話したの?」

「それに、大きな荷物を持って立っている人から見たら、目線の下になる車椅子の私たちには気づきにくいわ。向こうが一方的に悪いわけじゃないと思うし・・」

 七津の顔がまた赤く見えてきた。え、どうして?なんか、ちょっとフクザツ。

「作業療法を学んでいる大学生なんだって。今度おわびにみんなにおごってあげるって言ってたから、たかりに行こう」

「みんなに、とは言ってなかったんじゃないかな・・」

「じゃあ七津一人だけ?」

「そんなことはないけど!」

 なんか私が意地悪してるみたいになっちゃったけど。あれ、本当に意地悪してる?


 愛来と春陽が注文したメニューが運ばれてきた。4人分なので後で席まで持ってきてくれるようで、二人は番号札だけ持ってきたのだった。

 運んでくれたのは、残念ながら先程の店員ではなかった。

「ここの『てりひよ』、大好きなのよね。春にしかないし」

 春陽は家族とよく来ているらしい。私は混むところが好きではないので、こうした場所にはあまり来たことがない。

「七津はこういうところ、よくくるの?」

 愛来が七津に尋ねた。

「日本に帰って来てからは初めてよ。混むところは嫌なの」

 車椅子に乗っていると、どうしても人混みは避けてしまう。誰かに迷惑をかけてしまうという不安が、身体に染みついているようだ。

「でもさー、こうやって4人揃ったんだし、女子高生にもなったんだから、今まで出来なかったことやろうよ!もう一人じゃないんだから、がまんしなくていいんじゃない?」

 愛来の言うことに、みんなうなずいた。場面は違っても、みんな似たような経験をして、似たような気持ちはあるはずだ。

「じゃあ、次はパンケーキ食べに行きたい!」

「春陽は全部食べ物ね」

「だって、一緒に行ってくれる人いなかったし、家族と行ってもつまんないし」

 その気持ちも強くわかる。自分の昔のプライベート写真のほとんどは、家族と写っている。

「大手町のショッピングモールにあるんじゃない?評判は聞くわよ」

「よし、それ行こう!」

「決まりね」

 4人なら、何でも出来ちゃいそう!

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